LNCrawler

ムー襲来イベント前篇 その05

転生して進化したら最強になって無双します — novelba.com · All chapters

ムー襲来イベント前篇 その05

ムー世界から迷い込んだ成人男性は、元の世界に戻りたいとは言わなかった。

スキルと思しきものの力に従い、それが自分の最善だと感じたようだ。

「──ということでして。しばらくの間、ここに置いておいてあげてください」

「うん、そういうことなら。もちろん、タダでとはいかないがね」

「ええ、承知しておりますよ。食糧、そしてポーションですかね? どうやらあちらの世界は異なる力の法則があるようですし、通常の医療道具なども取り揃えておきましょう」

「ふむ……なるほど、言語の方は何とかできたのかい?」

「中に翻訳用の装置を置いてあります。それがあれば、問題なく会話が通じるかと」

遺失世界から迷い込んでくる、という仕様からもしもの可能性は想定していた。

なので解析した言語を即座に翻訳する、といった装置も予め製作済みである。

あとは彼を置いておく利点を提示すれば、里長も受け入れてくれた。

大義名分、と言い換えてもいいだろう……価値のある取引と思ってもらえたようで。

◆   □   ◆   □   ◆

山人族の隠れ里

『おう、来たか』

「……おや、伝わっていましたか?」

『森人どもからな。土の精霊たちを通じた、連絡網ってヤツだな』

「そうですか、情報提供ありがとうございます。ああ、そうだ……こちらの手土産をどうぞ。いろいろと、お時間もお掛けしてい舞いそうですので」

『……ほぉ、そりゃあ大変だな』

お次に訪れたのは、『超越者:造鎚』が里長を務める山人族たちの隠れ里。

小型の拡声器を付けている里長に挨拶をする……ついでに、袖の下も渡しておく。

後方で俺たちを見ていた連中が、目の色を輝かせている。

中身──酒の匂いを嗅いで、興奮しているからだな。

「ここに迷い込んだ方は?」

『おう、居たぞ』

「……居た、とは?」

『言葉が分からんかったからな、すぐにここから外に逃げてったんだよ。なんか、滅茶苦茶怯えてたらしいぞ』

耳以外は美男美女な集団にしか見えない森人たちと違い、イカついおじさんが多い山人族と接触したわけだし、場合によってはそうなってしまうかもしれないか。

「その方……は、子供でしたか?」

『みてぇだな。あんまり無理に捕まえるのもアレだったし、話を聞いてからすぐ精霊は付けておいたが……ダメだったか?』

「いえ、それで充分です。まだ一人しか接触していないので確信は持てませんが、迷い人自体は悪と言い切れませんでした。なので、追いかけて確認したいと思います。精霊の位置はこちらで何とか捕捉しますので……」

『ああ、こっちで分かるようにしておけばいいわけだな。バレるとアレなんだろう? お前さんが近づいたら、分かるようにしておけばいいか』

「助かります」

そんなこんなで、今度は子供を見つけ出すところからだ。

精霊の気配を探る、それは【精霊士】などがあれば可能だからな。

ただこれ、俺じゃなくとも誰かがやって山人族と接触するイベントかもしれんが……この隠れ里、俺がいろいろ持ち込んだせいでかなりヤバいんだ、秘匿させてくれ!