ムー襲来イベント前篇 その06
ムー襲来イベント前篇 その06
山人族の隠れ里へ向かったところ、里長から迷い込んだ子供が逃げたと聞いた。
精霊を付けて守っているそうなので、直接行って話をしてみることに。
「【高位精霊士】の擬似霊視のお陰で、精霊の居場所も分かるな」
俺自身、霊に関する適性は皆無に等しい。
だが『プログレス』で底上げを図り、使用可能にした状態で職業システムの補助を受ければ……どうにか視えるようになった。
色とりどりの精霊たちが、淡い光を放ちながら周囲に漂っている。
その中でも、『造鎚』の指示を受けた精霊たちが一本の軌跡を作っていた。
「そういえば、擬似霊視の能力は他の職業でも……【高位死霊士】にもあったけど。違いは視えるものなのか?」
《いえ、能力の効果自体は変わりません。本来は就職者の適性で、すでにある程度視えておりますので。それを補助し、視えるという認識で当人の力を引き出し、使わずとも視えるようにしていくようです》
「まあつまり、適性も無いのに複数の霊体に関する職業に就くことを想定していなかったわけだ……ちなみに、補助輪の効果でいつか視えるようになる可能性は?」
《……不可能では、ございません》
まあうん、そういうことだな。
いいんだ、道具があれば適性関係なく視えるようになるし……知られると困るし、あんまり表には出せないけど。
◆ □ ◆ □ ◆
幸いなのか、休人たちが見つける前に例の子供を見つけることができた。
──だが不幸なことに、子供は危機的な状況にあった。
「た、助けて……!」
隠れ里周辺は、それぞれの里ごとに結界のようなものが張られ強い魔物は近づかない。
だが子供はそこから離れた……精霊が守っていても、そこには限度がある。
「いいでしょう、お助けしますよ」
「!?」
「インストール──『サウザンドエッジ』、“ダンシングエッジ”」
地面に並び立つ無数の刃。
それらは触れずとも宙を舞い、子供を襲う魔物と戦い始める。
予め、“セットウェポンで”登録しておいた剣は聖剣や魔剣の類い。
それそのものが強い威圧感を放ち、魔物を追い払うことに成功した。
「……ふぅ、間に合って良かったです。貴方のことは、山人族の方から聞きました。彼らの下を去ったようですが……とても心配しておりましたよ?」
「…………」
「言葉が分からずとも、困っている子供を助けようとするいい方たちです。貴方がここに居ることも、先ほどまで貴方を守ってくれていた精霊のお陰で知れましたしね」
「……どうしよう」
「謝る……ではありませんね。お礼をきちんと言いましょう。私が居れば、彼らと話すことができますよ。だから、自分の今の想いをあの方たちに伝えてください」
「……おじさんも、ありがとう」
…………内心、オーバーキルなダメージを受けたことを隠すように、おそらく引き攣っているであろう笑みを浮かべる。
悪意はない……はずだ。
ともあれ無事救出完了したし、隠れ里に帰還しますか。