ムー襲来イベント前篇 その10
ムー襲来イベント前篇 その10
戦闘職が集まる海岸の防衛戦、生産職が集まるお姫様の船修理。
俺はその二つから、前者を選んだ……後者だと単独無双になってしまうので。
向かった海岸では、すでに陽素の力で休人たちを防戦一方にする艦隊の姿が。
ただ例外的に暴れている少数も居たので、俺もそちらに混ざることにした。
「まずはド派手に、デコイを仕込んでおきましょうか──“星生夢幻”」
戦闘ということで、移動中に装備した星具の一つ『星樹の軽鎧』。
その固有能力は、実体を持つ幻覚を生み出すというもの……本来なら。
十全にその力を発揮できるのは、アイスプルの影響下にある場所に限られてしまう。
なので今回はホログラムのように、触れられないがリアルな幻覚として出力する。
俺が生み出した幻覚は、コラボイベントでも邂逅した『零哭獣ビーストノート』。
絵師さんによって頑張ってデザインされた強キャラ感に、ムーの人々が驚愕している。
一方で、休人たちは大盛り上がり。
つまりはそういったメッセージ、砦の中から反撃を示す狼煙が上がったのを見つつ、幻覚が消える前に俺も行動を開始する。
魔術“ 孤絶ノ衣 ウツロナルマトイ ”の展開。
インストールで『インビジブルクローク』から“アラートスルー”と“アンタッチャブル”を並列駆動。
「そして、『光喰らいの禍玉』。これで陽素の力を一時的に抑えられるはず」
誰にも見咎められず、ポイっと宙に放り投げられたそれは辺り一帯の光を奪い尽くす。
その周辺だけが真っ暗な夜となり──異変が起き始める。
まず、効果範囲となった船からバリアが失われた。
それだけなら想定通りだったのだが……なぜか、軍人たちが恐慌状態になったのだ。
「なんと言っているかは分かりませんが、まさにてんやわんやといった様子ですね……解析をお願いします」
《……どうやら、闇を恐れているようです。逸話からして、彼らは太陽の力を絶対視した存在。光なき世界というものを、過度に恐れているのかもしれません》
「うーん、それもそうなんだろうけど……むしろ知らない概念なら、こんなに動き回れるか? 硬直とかしそうだけど」
《──闇に関するナニカが、現在のムー世界ではトラブルの要因となっている。そう考えるのが妥当かと》
たしか、イベント開始前の映像でお姫様がお偉い様との接触を図ろうとしていた。
それはつまり、それをしなければいけない危機が起きているというわけで。
そう考えると、これをやったのが俺だとバレるといろいろと不味い気が…………うん、考えるのは後回しにして、さっさと船に潜り込むとしますか!