ムー襲来イベント前篇 その12
ムー襲来イベント前篇 その12
宙に浮く円盤、フロートディスクに小人状態になって搭乗。
これにより、小さい姿でもある程度の移動速度を確保しつつスニーキングが行える。
「なお、このためだけに小人用フロートディスクを開発しました」
レシピ自体は『忌創展概』から貰っていたが、さすがに普人族サイズのものだ。
なので俺はそこから、様々な形で改造を行い技術の利用を図った。
サイズの拡縮、速度の向上、そして形状の変更などなど。
通常の物を改良したうえで、使い勝手が良くなるように開発を行ったわけだ。
「便利なのは、これを装備しておけばスキルや術式の効果対象にできる点ですね……特殊装備枠、というヤツでしたか」
通常の武具や装飾具から外れたモノを、概念的に繋げることができるための枠。
それが特殊装備枠──うちで言うならば、[アライバー]が該当する。
そういった乗り物は機械でも動物でも該当するし、まあ装備せずとも使える。
ただしそれは、武具などを装備していない時と同様に補正が働かない。
「……そうなると、保護されていないアイテムなどはすぐに壊れてしまいますからね。さて、そろそろ到着ですね」
軍艦の中には地図が配置されていて、どこに行けば良いか予め示されていた。
俺が向かっていたのは動力室、狙うのは動力の停止──そして作業マニュアルの奪取。
無いかもしれないが、あったら儲けものレベルの目論見。
部屋の前に立ち、扉を……開けるために手甲を突き出す。
ピッキングツールではない。
軍艦の扉はすべて認証式で、階級章の提示や生体認証などをやらなければならない面倒な仕様……なので、全部無視する。
機械ハッキングに特化したアイテム『機械帝の手腕』を使い、電子戦を開始。
幸いにも、機械の定義内に含まれた装置ではあったようで……電光が走る。
《解析開始──規定パターンに該当するもの無し。信号を解析……完了》
「……イケますか?」
《……申し訳ございません、解析自体はできたものの単純に時間が掛かります。分かりやすく状況をご説明しますと、データ量が膨大過ぎるのです》
曰く、電気信号や光信号の超上位互換。
どれだけ膨大なデータであっても、光の速さで届けられる機械技術者垂涎の代物。
ゆえにそれらを利用できない現状では、いかに『SEBAS』とて苦戦は必須だと。
そこまで聞いて俺がやるべきは、当然ただ一つ──ピッキングツールの使用だ。
「再度使用、『光喰らいの禍玉』」
信号は電気でも光でもなく、陽素によって行われているらしい。
光との違いは? と言われると首を傾げたくなるが、そういう星の理だと強引に解釈。
だからこそ、その根源を断つように再度辺り一帯の光を奪い去る。
映画などでもよく行われる、監視カメラを断つための潜入術(強硬)の一つだな。
通常であれば非常電源的なモノがあるだろうが、これはそちらも含め根こそぎ奪った。
なのでそれはただの重厚な壁でしか無くなり、電子戦に挑む必要は無くなる。
ただし、扉はピッチリと壁とくっついているためこの隙にできることなど無い。
──がそれでも、特殊機構などが機能しない今だからこそできることもある。
「もう一回、“アンタッチャブル”」
物理透過ができる、『インビジブルクローク』の能力を発動。
予想通り、強制解除されていたはずなのに正常に使える──その隙に壁を通り抜ける。
しばらくすれば再び動力が始動、壁は閉じたまま元の状態であることを報告。
中に居る俺は、そう知られることなく内部でこそこそと作業に勤しむのだった。