ムー襲来イベント前篇 その15
ムー襲来イベント前篇 その15
イベント世界 軍艦 動力室
軍艦から紙の資料はもう得られない、そう判断した俺たちは次の行動に移る。
──軍艦の奪取、それを他の休人たちに壊される前にやらなければならない。
「まあ、こういう時に報連相は重要です。すでにジンリとハックには連絡が行っていますので、多少の時間延長は成されたでしょう」
何でもぶっ壊せるヤツと、それを指示できるヤツには予定を事前に伝えておいた。
彼らさえノリノリで壊しに来ないなら、他の連中が壊すための時間は相応に長くなる。
それで充分、こちとら伊達に様々な死因でアイテムを生成しているわけではない。
最適解となる(劣化版の)ある死因を取り出し、この場に顕現させる。
「──『快眠の吐息』」
それは死んだように眠る、永眠状態に落とすアイテムを改造した代物。
ガス状のソレはまず部屋中に広がり、彼らの意識を奪っていった。
「本当に恐ろしいのはこれ、無味無臭かつ無色なことなんですほね……」
日常的に用いられるガスなどは、その危険性を示すために臭いが付けられたりしているが……わざわざそれをする必要が無い、実戦向けのこれにはそういった仕様が何も無い。
誰にも気づかれることなく蔓延し、気づいたときにはもう手遅れ。
意識はスッとブラックアウトし、そのまま深い眠りに落ちるだけだ。
「まあ、一時間もすれば起きるでしょう。それこそ、心地よい眠りからの目覚めと共に」
なんせ、『快眠』のアイテムだしな。
死は終わりであり始まり、だからだろうかマイナスな効果だけでなく、プラスなものにも変換することができた。
……大半は物騒過ぎて、そういった応用も効かないけどな。
あくまでも、『死天』由来のアイテムだから仕方がない。
◆ □ ◆ □ ◆
「このまま大量に放出して、済ませることができる範囲は終わらせていきましょう」
《ドローンに寝た者たちの仕事は代行させていきますね》
「助かります。こういうとき、普通に仕事が継続されていれば、気づかれるまでの時間も引き延ばすことができますし」
ガスの効果範囲はかなり狭い仕様だ。
元が殺戮ガス的な代物だからか、少ししたら勝手にガスは効果を発揮できないほどに空気に溶けてしまうのだ。
なので一室一室、生体反応のある部屋にお邪魔しながらガスを注入せねばならない。
幸い、厳重な扉がある部屋は限られているので、そこだけ後回しにすれば良かった。
「そして、残るのは艦橋のみ……さすがに気づかれたようですね」
内部から伝わってくる殺意。
死んだように眠る者たちに気づき、扉の外から警戒心を露わにしているようだ。
それでもこちらに来ないのは、開けた時点でガスが入っていることを知っているから。
──やりようはある、それこそ他の場所はもう掌握しているわけだからな。