ムー襲来イベント前篇 その16
ムー襲来イベント前篇 その16
軍艦の乗っ取り、内部からじっくりと。アイテムを駆使しながら行っていく。
残ったのは艦橋のみ、しかし相手も異常に気付き厳戒態勢となっていた。
「最後の最後は正々堂々と……なんて決まりはありませんしね。ノリ的に、大胆かつ悪辣に行きましょう──『SEBAS』」
《すでに何度も自爆シークエンスの実行が確認されています》
「やはりですか……王道ではありますが、分かっていて許す必要もありません」
創作物の定番、敵による奪取を防ぐために行う命懸けの自爆。
だが今回、動力源を確保していた俺たちは先んじてそれを防ぐことに成功した。
艦橋からの命令を最優先するシステムではあったが、擬似的にその命令が届かないよう『SEBAS』が細工を入れることで、その決死の選択を何とかしている。
「すでに検証は済ませています。彼らにもお見せしましょう──神聖術式“至行”」
選んだのは俺自身の神聖術式。
99%を100%にする、そんなほぼ確実に成功することを確実にこなすための補助術式を発動。
「加え──“開錠”、“解錠”、“壊錠”」
三つの職業能力、それらは総じて閉ざされた鍵に対処するためのもの。
開く、解く、壊す……形は違えどどれもその先にアクセスするために使える。
ここに[称号]、アイテムや事前知識などの補正が乗ることで成功率は向上。
扉を覆う防壁の動力を断ち、スキルの効果がきちんと通じる状態にすれば──
「扉は開く、ということですね」
「──総員、撃てぇえええ!」
陽素がスパークしながらも、ゆっくりと開かれていく扉。
俺が目にしたのは、銃のような陽具を構えて待ち受けていた軍人たちの姿。
逃げることなど不可能、射線が通った時点で彼らは発砲を開始。
慈悲など無い、侵入者である俺は容赦なく撃たれ続け──
「ふむふむ、それなりにダメージはありましたね。並大抵の休人であれば、守りに徹しても突破できなかったかもしれません」
「なっ……!」
「補給源を断ってもなお、陽具自体でそれだけの出力を発揮できますか……ふむ、俄然興味が湧いてきましたね」
無傷……のように見えるが、死亡回数三桁越えの俺が立っている。
そんな様子に恐れおののき、それでも銃口はこちらに向け続ける軍人たち。
弾切れではないだろうが、無限というわけでもないのだろう。
暴走するでもなく、上官の指示を仰ぐその姿はあっぱれというもの。
なお、眠らせた軍人たちから陽具はそれなりに確保している。
解析に回して結果待ちなのだが、稼働中のデータも欲しかったからこその現状だ。
「もう終わりですか? では、そろそろこちらから行かせていただきましょう」
「怯むな、アルファは継続! ブラボーは抜剣! 起動を忘れるな!」
『了解!』
何やら胸の辺りに手を当ててから、軍人の半分が接近戦を仕掛けてきた。
たしか、『SEBAS』によるとフレンドリィファイア防止の陽具なんだっけ?
まだ試していなかったし、どういった原理なのか見ておこうか。
死んでも死なない、『超越生者』だからこそできる舐めプの始まりだ。