ムー襲来イベント前篇 その20
ムー襲来イベント前篇 その20
ほぼ永久機関、太陽の光から無尽蔵のエネルギーを生み出せる『陽珠』。
軍艦からそれを手に入れた……解析は済ませ、絶賛複製を実験中だ。
「天然の素材でも無いし、魔物から採れるわけでもない……【太陽帝】様の恩恵ねぇ」
すでに多くの者が、[掲示板]へ獲得した情報を提供し共有している。
その中に存在した、【太陽帝】なる存在と謎に包まれた恩恵の意味。
だが俺は、手にした陽珠の簡易解析結果からそれを知った。
──システムにより生成された、星の理の塊……その恩恵こそが陽珠なのだ。
《【太陽帝】の能力、それを用いることで生み出すことができる特殊なアイテムですか。たしかに、最上位職のみに可能なアイテムの生成などもございますね》
「ただ、そういうのは【超科学者】みたいにレシピを用意したうえで作るもののはず……でもたぶん、違うんだよな」
俺も:DIY:を使い、陽珠の複製に必要な素材を調べてみた──が、結果は出ず。
代わりに天然素材なら何でも創れる力を試してみたが、そちらも機能しなかった。
だからこそ、どちらでもない。
純粋に職業の能力だけで、ゼロから……陽素以外の混ぜ物がいっさい無い代物を生み出したと思われる。
「これ、【救星者】でもできるのかな?」
《可能ですよ》
「そうか、可能なのか……可能なのか!?」
《職業能力に記されたものではありません。ですが、旦那様は星にアクセスすることができますので…………そういうことですか》
「えっ? ……あっ、なるほど!」
つまり、【太陽帝】も同じなわけだ。
俺はアイスプルから、そして【太陽帝】は星と……おそらく太陽から、権限を得たうえでその力の一部を抽出していると。
だからこそ、理不尽過ぎる永久機関ができちゃうようなアイテムが生み出せる。
意識していなかったが、これであることが判明した。
「俺と同じ、特級職……!」
《可能性は高いかと》
「おいおい、俺が使っているから最弱に甘んじているだけで、俺以外の誰かが使ったら絶対チート級職業の【救星者】さんと同等? 不味い、『騎士王』レベルのラスボスだ」
擬似的な就職数無制限、管理する星における最高権限、外敵に対する絶対優位性。
基礎的な能力だけでこれなのだ、仕様が多少違えど力を蓄えていれば更にヤバいはず。
「……でも待てよ。【救星者】はいちおう、レベルの無い職業。なら、【太陽帝】とやらも同じになるのか?」
《星ごとに理が違えば、特級職の在りようも異なるでしょう。旦那様の就く【救星者】は理論上、どの世界でも就くことができるモノですが、【太陽帝】は間違いなくムー世界特有のもの。無いとは言い切れません》
「あー、【救星者】はエンドコンテンツ的なヤツだしな。つまり、【太陽帝】は逆に就職者が俺Tueee! するために強い仕様になっている可能性も…………ってなおさらダメじゃん」
《……特級職は権能以上にリソースを喰う代物です。これまでの遺失世界は権能を作るだけの余裕が無かったため、それが用いられることはありませんでした。では、それを持ちながら特級職を選んだ世界であれば》
「…………ただ独り、超強い戦力が君臨した世界になると」
言わば、『超越者』抜きで『騎士王』が独りで統治しているような世界なわけだ。
なお、『超越者』に回すリソース全部が集約されていると…………うん、無理ゲー。