ムー襲来イベント前篇 その21
ムー襲来イベント前篇 その21
特級職(仮)【太陽帝】の存在は、俺を震撼させた。
たとえ同じ階級でも、職業スペックだけ比べれば確実にあちらの方が上なんだよな。
「まあ、その辺はあとで考えるか……そういえば、お姫様の方もそれっぽい職業を持っているって話だったか」
《──【太陽皇】という職業ですね。詳細は不明ですが、その名称から【太陽帝】との関連性を思わせます》
「【救星者】にはそういう……うーん、眷属みたいな職業は無いからな。やっぱり、特級職に星のリソースを注いだ感じか」
《貢献度、そして好感度の高い者が陽石を授けられております。それを用い、自分たちの世界には無い闇を払うモノが欲しいと、そう依頼を受けて》
「……闇に対する脆弱性? みたいなものが原因で侵攻が始まったわけだ。軍部はそれを外部の人間を徴収して対処しようとして、お姫様の方は外部の人間にアイデアを貰って自分たちでやる……どっちも外部頼りだがな」
切羽詰まった状況だからこそ、外の世界に出てまでその解決方法を得ようとしている。
彼らの闇に対する弱さに付け込んだ俺だからこそ、彼らの危うさも分かった。
「というかあれか、これまでそんな状態にならなかったこそなわけだな……なら逆に、どうして今それが起きたのかだ」
《闇のような存在で、かつ他の世界に被害を及ぼすような存在》
「…………どうしよう、俺の中でアレしか思いつかないな」
何より、アレは遺失世界であろうとも潜り込むという前科が存在する。
そして見た目はある意味真っ黒、日の光を遮るどころか生命体を黒く蝕む性質を持つ。
「──『 侵略者 バシビウス 』、か。久方ぶりにその名を聞いた気がするな」
《可能性は高いですね。であれば、旦那様の御力は必ず役に立つでしょう》
「できるだろうけど……そのままだとつまらないな。そもそも、確証が無いからまだ妄想の範疇を出ないし。まあ、ここからは無難な活動でお茶を濁すか」
一先ずは解析と複製に注力し、空いた時間に作った支援アイテムを広めていく。
少々割高な代わりに質を保証すれば、競争相手もそこまで出てこないだろう。
「インストール──『マイルーム』、その派生“アナザードア”。さてさて、さっさと調べ上げますか」
わざわざ誰も居ない空間に移動し、それからアイスプルへ帰還する。
確実に俺の場所を把握しているであろう、ジンリへの対策だ。
……なお、転移する前に『SEBAS』に見てもらったらやはりマーカーがあった。
本当に恐ろしいヤツだ……姿も見せず、だが必要な情報だけは確実に取りに来てたぞ。