ムー襲来イベント後篇 その15
ムー襲来イベント後篇 その15
互いに挨拶を済ませ、ちょうどいい機会なのでと俺はあることを話した。
休人たちの来訪により発生する、問題の一つ──俺製希釈ポーションの影響について。
「こちら側にその影響がどれほどあるのか、それは同等の品の量によって決まります。詳細を聞きたいのではなく、あくまで一般教養の範疇で構いません。お教えいただけないでしょうか?」
「…………一人、呼んでも良いか?」
「ええ、お答えいただけるようですので」
「そうか」
何やらぶつぶつと口を動かす【太陽帝】。
すぐさま読唇を行った『SEBAS』によると、誰かにここに来るよう話しているとのこと……そういう能力なのだろう。
少しして、先ほど入ってきた扉が叩かれ再び自動的に開かれる。
現れたのは、ロマンスグレーな渋いイケオジ感のある老紳士だった。
「宰相だ。コヤツから説明させる」
「初めまして、異世界の特級職様。この国の宰相を務めていますアルヴェンと申します。事情は伺っております、秘薬の類いについて知りたいとのこと」
解析を終え、[ログ]に表示されている呼び出しの内容とほぼ同じ。
俺にどんな能力があるか分からないからこそ、余計なことはしなかったらしい。
「死者の蘇生、そして死病を癒すことができるレベルのものを」
「繕いは不要とのことでしたので……それなりに数はございます。ただし、それらは命を削り寿命を縮めるものとなっています。そちらの物は?」
「デメリット無し。蘇生薬は死亡判定から数十秒以内である、万能薬は充分な量を体内に入れる。それらを満たしていれば、通常の物と同様に効果を発揮します」
「なんと、それは素晴らしい! ……それゆえに、厄介ですね」
毎度同じようなやり取りをしているので、俺もだいぶ慣れてしまっている。
この後数十分、休人たちが持ち込みについていろいろと話し合うことに。
「──ということですので。使用、保有に関する制限は必要でしょう。まあ、何だかんだ隠し持つことは当たり前ですが、建て前は重要ですので」
「ええ、仰る通りで……ただ、少し時期はずらした方が良さそうですね」
「我々がこちらに来た主題、『闇』への対抗策ですよね。こちらもこの世界に貢献することを、いくつかの世界からも勧められていますので、全面的に協力しますよ」
「我々では、『闇』に対抗する術があまりにも少ない。我らが帝の恩恵を撥ね退ける彼の『闇』は、今までにない天敵と言えます」
「ですので、私どもが来ました。始まりはいささか乱暴ではありましたが、休人というものは多種多様……そして、勧善懲悪を好む者が多いです。筋書さえ整えていただけましたら、皆様との友好な関係も結べるでしょう」
こういうやり取りは、俺よりジンリの方が向いているのは間違いない。
それでも、ここに呼ばれた以上はある程度仕事をしておきたかった。
彼らにとっての休人が、最低限搾取を選ばないだけの価値がある存在だという証明。
それをするために、俺はもう少しの交渉を続けることになった。