ムー襲来イベント後篇 その16
ムー襲来イベント後篇 その16
ムー世界 王宮 客室
異世界から持ち込まれるポーション。
その規制を含めた対象法を、【太陽帝】とその右腕ポジションっぽい宰相相手に交渉することに。
実のところ、ノウハウ自体は冒険世界で得ているのでその応用に過ぎない。
……発生する問題は、『騎士王』とギルド長辺りがわざと教えてくれていたからな。
「──とりあえず、これで大丈夫か」
《お疲れ様です》
交渉を終えた俺は、宰相に直接案内され客室に入れられた。
ここでメイドや執事を使わない辺りが、この世界の内情を物語っている。
まさか来訪初日で世界の支配者に邂逅し、そのままその住まいにお邪魔することになるとはな……そして、それ以上に問題が多いこの世界に少しばかり頭を抱えた。
いやまあ、冒険世界も魔導世界もそうだったのだが、問題自体はどこにでもあるか。
ただここの場合は、明確に支配者階級となる【太陽帝】の周りが騒動だらけなだけで。
「これを設置しておけば、大丈夫って教えてくれたけど……どうなんだ?」
《『光喰い鳥』は部分的な陽素の遮断を、こうして防諜用とするために開発しました。効果が機能する半径5m内では、諜報活動を封じることができます》
「この世界限定の、そして今だけの防諜アイテムか……確実に、この辺もいつかは更なる対策が必要になるよな」
《そうですね。この世界であれば、そうなる可能性が高いでしょう》
「……下地あるもんな、空飛ぶ船が造れる技術はあるわけだし」
何が言いたいかというと、世界ごとに受け入れられる技術レベルに限界があるのだ。
ファンタジー寄りなポーションはまだいいが、高度過ぎる技術は不味い。
今は陽素に沿った技術の発展だからこそ、こうしてそれだけをピンポイントで対策すれば対処できる……だがそれを、純粋な機械技術や逆に魔力を織り交ぜた技術にすると?
外部から来た休人たちが使う、それぐらいならまだ何とかなるだろう。
だが、もしもそれを普及させて、ムー世界の理を変えてしまうほど影響を与えると──
「──最悪、今回のイベント以上に世界が危機に瀕するからな……皇帝様、それを知っていると思うか?」
《旦那様と同じ特級職ですが、ムー世界がその情報を開示しているかどうかですね。旦那様の場合、アイスプルからではなく種族レベルを999まで高めたことによるボーナスでの把握でしたので》
「アイスプルはその辺も含めて、情報が欠落していたもんな……はてさて、きちんと押さえることができるのか」
究極的な話、すべての世界の優れた部分を取り込んだ世界作りをすれば、世界はより良くなっていく…………なんてことはない。
世界にもまた、リソースが存在するから。
パラメータの割り振りのようなもので、世界を相応に発展させないまま外部から技術のみを取り込もうとすると──反動が生じる。
いわゆる、お仕置きユニット。
だいぶ前に、生産ギルドで話した地球の技術をそのまま持ち込んだ休人たちを特級会員にしなかった話はそれが理由。
世界に合わせ、馴染む形で取り入れなければ世界に悪影響を及ぼすのだ。
そして、休人たちの知識と持ち込むアイテムはそれを可能にしてしまうからな。