ムー襲来イベント後篇 その20
ムー襲来イベント後篇 その20
──時は平等に進んでいく。
イベントも終盤、ラストスパートと闘志を燃やし『侵略者』たちと戦う休人たち。
ムーの原人たちもまた、休人たちの活躍により『侵略者』への対抗策を得て戦う。
「ふっ、使える者を何人か調べておけ。こいつらは使える──使えずとも、何度でも蘇る以上駒にはちょうどいい」
そんな中でも、今後を見据え動くある男において今回の騒動は重要では無かった。
世界を渡る技術、それに目を付け鍵を取り出した王族の一人──【太陽皇】ゾンネ。
他ならぬ、異世界への侵攻を画策したのもまたこの男。
彼にとって、休人──『星渡りの民』の参戦は予期せぬものだが……好都合だった。
共に行動し、彼らが決して統率された組織的な集団で無いことは確認済み。
あとは力を持っていながら、欲に弱い者たちを選別し──利用する。
それが彼の計画。
──特別という言葉に弱いのが人で在る以上、彼の野望は高い確率で叶うことだっただろう……このまま進んでいれば、であるが。
始まりは唐突に、天幕の中に慌てた様子で入ってきた兵士の一人。
普段であれば相応の罰を与えるが、それは話を聞いてからでも良いだろう。
そう考え、兵士の息を整えさせるために水分を補給させる。
寛大さを示すため時間を設け──やがて、回復した兵士が、それでも慌てて声を出す。
「お、皇子! た、大変です!」
「……むっ、何だいったい。また俺が出なければいけないのか?」
「きょ、巨大な『侵略者』が! 休人どもの攻撃にビクともしない、陽素でしか傷が確認されない個体が出現しました!」
「…………はっ?」
その言葉を聞き終えたとほぼ同時、彼の居る天幕を激震が襲う。
これまでの騒動の根幹、陽素を拒む個体とは真逆の存在。
すぐに外へ出てみれば、たしかに天にも届こうとする巨大な個体が暴れている。
休人たちが数多の攻撃を浴びせるが、一つとして傷は付かず穴もすぐに塞がっていた。
愚かではないゾンネは、その存在の登場がどういった意味を示すのかを導き出す。
──奴らは……我らよりも、連中こそを適応すべき敵だと定めたというのか!?
「ふざけるな……【太陽皇】を、【太陽帝】の力に奴らが勝ると? バカな、そんなことありえない!」
生存に特化し、他者を利用し、それを拒む者に対する耐性を獲得する『侵略者』。
これまではムー世界固有の概念、陽素に特化した耐性だった。
だが、その目で見た個体は違う。
これまでの戦いから、アレが最期の抵抗であることも察しが付く──そのうえで、最期の最後に何を警戒したのかも。