ムー襲来イベント後篇 その21
ムー襲来イベント後篇 その21
──とまあ、いろいろと空回りな錯綜が起きている気がしないでもない。
えっ、どういうことかって?
単純明快、プロデュースby俺なだけだ。
誰にも見られないよう、幾つもの対策を講じての遠視。
対『侵略者』戦の最前線で頑張る休人たちの姿を見ながら、俺は一人呟く。
「【影法師】の職業能力“物影”。シルエットだけだがイメージ通りの物を影に形作らせることができるんだが……やっぱり、組み合わせというかシナジーが大切なんだよな」
エクリの闇操作能力ではなく、今回用いたのは彼女が就いている職業の能力。
それはなぜかというと、処理能力の確保が理由……やっていることが多いのだ。
周囲に展開している“影鬼”の管理、そして維持するために魔力を供給しておかないと消えてしまう領域の確保。
加えて偽レイドバトル中の影の操作までやるとなると、手が回らなくなってしまう。
もちろん、『SEBAS』やエクリの力を借りればできなくはない。
が二人には最低限の補助のみを頼み、それ以外の処理能力は別に回してもらっている。
そして、俺一人で影の操作なんてできるわけもなく……職業能力を使っているわけだ。
「穴が開いた部分から補填しつつ、中に確保しておいた『侵略者』に程よくダメージを与えていくだけの簡単なお仕事だからな。同じく仕込んだ『光喰い鳥』が陽素を用いた攻撃全般を防ぐから、全然攻撃が通らないし」
当然、一部の休人たちは鑑定やら看破を使い情報を抜いて来ようとするだろう。
──二人がやっているのは、そういった情報戦を制するという重大な任務だった。
あらゆる方法を想定し、それぞれに適した形で違和感を持たれないように偽装情報を押し付ける……簡単に言ってはいるが、それができたら苦労しない、というヤツである。
そんな無理強いを押し付けているため、自分で何とかしなければならないのが現状。
無数の職業能力を同時に……なんてこともできず、制御できるよう能力を使っていた。
《──旦那様、時間です》
「おっ、来たか。ちょっと前から皇子も見始めたみたいだし、イイ感じに締めますか!」
そう言って、【影法師】の根幹部分を成す職業能力“影真似”を展開。
これまで使っていた“物影”は、扱いやすさを優先したデチューン版。
だがこちらは違う。
影への干渉能力を獲得し、それらを自在に操るところは同じ──重要なのは、指定した動きを自動的に取らせることができる点だ。
「プログラム指定──『対休人ドクトリン』で『ギフチャージ型』を起動」
これまでは防戦と最低限の迎撃のみだった影が、俺の音声コマンドで動きを変える。
スライムのようにうねり、形を球体と変えた影は空に浮かび──黒い光を放った。