ムー襲来イベント後篇 その23
ムー襲来イベント後篇 その23
ムー世界を襲う危機は、休人たちの活躍によって無事討たれた。
裏で暗躍し、【太陽皇】が活躍する機会を奪っていた者が居るなど……誰も知らない。
ともあれ、そんなこんなで休人たちの大半はやり切った感を出していた。
──がそんなわけもなく、後処理と後始末という最期の課題に一部の者は取り組む。
「──良くぞ、この世界の危機を救ってくれた。礼を言おう、異世界からの来訪者たち」
今回のイベントそのものは、『侵略者』が全滅した時点で終わっている。
その中で、前半後半双方で活躍した者たちがこの場に──王宮に招かれていた。
上位二十集団ほどだろうか、当然ながらうちの家族もその中に含まれている。
……俺はその枠外なのだが、【太陽帝】に呼ばれたので仕方なくここに居た。
まったく、これでは暗躍していた意味がないじゃないか……。
そう溜め息を零し──家族の姿を全力でドローンで撮影している。
「まあ、居てくれればいいってことで、場所は少しズラしてもらえたし、こうして独り言の体で喋っていても誰も咎めてこないから別にいいんだけどな」
発言を許された休人たちが、【太陽帝】の問いかけに答えている。
俺はもうその辺が済んでいるので、わざわざいる必要が無いわけだな。
今回俺がやったことを、【太陽帝】は星の管理代行者として把握していることだろう。
だからこそ呼び出し、俺が行いの結果を見せているわけだ。
「──ゾンネ、そしてソレイユよ」
「「はっ!」」
「お前たちには、彼ら休人たちを学ぶ機会を与える。彼の世界へ赴き、この世界に必要なモノを知れ──良いな?」
「は、はい!」
「…………はっ!」
イベントの前半、そして後半で休人たちがお世話になった【太陽皇】たち。
だが、二人の表情はまったく異なり、片や喜色満面で片や苦々しさを隠さない。
まあ、有り体に言えばほぼ追放みたいな感じだからな。
──少なくとも、休人たちがこのまま何もしなければ、ではあるが。
《第三王子にとって、旦那様の行いが無ければあの場こそがより上位の力を得るアピールの場となっていました。ですがそれは失われたうえ、何もできずに侵略者を休人たちに討伐してもらった……そのような認識です》
「まあつまり、権力闘争においてしばらくは使い物にならなくなったわけだ……なんでそうなるのか俺にはさっぱりだけど、ジンリ辺りなら周りの状況だけで察してそうだな」
この場に招かれている、俺とルリの元ネトゲ仲間のジンリ。
優秀な頭脳とその辣腕の凄さには、何度もお世話になっていた。
現実世界では大企業の社長をやっている彼なので、そういう分野には詳しいだろう。
……いや別に、そっちに関わるつもりは無いので確認はしないけどな。
「で、今回の対応の意図は?」
《休人たちからの好感度は高いので、それをどう活かすのか……また、親の温情も含まれています》
「……仕様が仕様なだけに、このままだと殺されるもんな」
説明しよう、【太陽帝】及び【太陽皇】はこの世界における象徴的存在。
──つまり、人々の想いを糧として強くなるというシステムが搭載されているのだ!
初期リソースの配分が決まっている二つの職業だが、後から稼ぐ分には規制は無い。
そのうえで、レベルと違い想念から成るリソース獲得は別枠として判定される。
当然、【太陽帝】が一番稼いでいるわけだが、【太陽皇】たちもまたそれなりに自世界で活躍してリソースを得ていた。
が、今回の件で間違いなくゾンネは武闘派な人々からのソレを受け取れなくなる。
神で言うところの零落、要するに弱体化するので……他の者たちに狙われてしまう。
それを回避し、また別世界で再びリソース稼ぎができる機会を【太陽帝】は与えた。
つまりはそういうこと……更に腹黒い勘繰りは、今は控えておくとしよう。