ムー襲来イベント後篇 その24
ムー襲来イベント後篇 その24
休人たちが謁見に招かれたその場で、王族二人が星外追放処分を受けた。
無数の意図が錯綜しているようだが、多くの休人的には美男美女の来訪でしかない。
「──さて、もういいよな?」
《……おそらく、大丈夫でしょう》
明らかに大丈夫ではない気がするが、まあそう言っているのでそういうことにする。
現在、王宮だけでなく国──そして世界全体でイベント終了を祝し祭りを開いていた。
お偉いがたは王宮でのパーティー、民たちは屋台を開いての大賑わい。
どちらがお好みかと言われれば、俺は間違いなく後者を選ぶ。
「だけど、さすがに家族がこっちで真面目にやっているのに俺だけ外に行くとか……普通にダメだろ、さすがに。【太陽帝】、この辺汲み取ってくれないかな?」
《旦那様、彼もまた、この星の管理代行者としてやるべきことをしているだけですよ》
「うっ、そうなんだけどさ……」
有力な、この星の権力争いにまったく関わりのない集団だ。
自分たちの陣営に組み込めれば、今後が有利になるのは言うまでも無かろう。
「ただまあ休人の好感度を上げたいなら、間違いなく屋台の方が盛り上がるんだけどな」
こういう煌びやかな場を好む者も居るかもしれないが、大半の休人はこの世界を楽しむために来ているわけで……現実でやるような権力闘争は、望んでいないのだ。
「なあ、何かいい方法はあるか?」
《──すでに、ジンリ様によってそれらは潰されております》
「…………打開策は?」
《奥様であれば……いえ、ございません》
「それやると、何かとんでもないことになりそうだしな…………仕方ない、子供たちを守るためにも頑張……ってもらおうか」
宴が始まっても、俺の居る場所は誰も来ないよう細工を施した会場の隅。
困惑する子供たちを見るだけで、特に何もしていないダメな大人が俺です。
表向き、俺は何も活躍していない。
それは鍵の少女も【太陽帝】も承知していること、だからこそむしろ招かれていることに気づかれてはいけないんだよな。
「いちおう、ドローンで匿名のメッセージを出して、会話に飽きたらここと同じ感じにした場所へ行けるようナビゲートはしているけどさ……【太陽帝】にはバレバレだけど」
そんな俺と違い、この場に招かれた休人たちはその存在を知られる活躍を示した。
彼らとの会話を望む者は多い……が、まあ少しの休み時間ぐらい欲しいだろう。
残念ながら、ここから出るのはまだまだ先のこと。
勝手に抜け出す、というのは創作物の定番ではあるが……実際に起きたら事件だし。
だからこそ、安全地帯を用意する……ぐらいしかできない。
なお、その内部の会話は【太陽帝】に伝わる仕組みだ……そういう条件だったし。
「あとどれくらいだ?」
《一時間ほどかと》
「……創作物の主人公たちって、よくもまあこんな長い間付き合わされて持つよな」
《描写として、宴で疲れ切ったというものもございますよ》
俺はただ終わるのを待っているだけで、そうなっているんだから庶民感が半端ないな。
せめてもの抵抗に、俺はこの時間が続くことを神聖術式“幸上”に祈るのだった。