巧天の試練 その02
巧天の試練 その02
定刻となり始まった試練。
何も無い場所に移動させられ、大抵の物は揃う環境で造り上げるのは──規格外のアイテムだ。
「神聖術式“幸上”セット」
まず仕込みとして、フリシア様の神威を表す神聖術式を発動。
あらゆるフラグを断ち切り、起き得るトラブルを消し去るというありがたい御業だ。
今回求められるのは規格外のアイテム、だがそれは再現性無しと『 = イコール 』では無い。
極限まで至れば、理論上誰でも造れるというお題なのだ。
──具体的に言えば、『巧天』に選ばれるほどの実績を出したうえで、更に『巧天』でブーストを掛けた場合……だな。
「あとはこの『マギタリアファブリク』を使い、目的の物を造り上げるだけだ」
機械箱庭──それは職業システムが存在せず、代わりに魔力と機械技術を両立させながら発達した特殊な環境。
そこで生み出された、武器製造システム。
職業能力や補正という、人が行うことで得られる恩恵が無かったからこそ成立した、純粋な技術を突き詰める生産設備だ。
「まずはこれに、設計図を入れてっと……緻密な部分はオートメーション化させた方が楽で助かるよ」
3Dプリンターのもっと凄い版で、登録した素材で指定した物を出力してくれる。
鉱石などはもちろん、魔物の素材でも問題ない……まあ、材料が足りればだけれど。
今回は:DIY:が使えないため、予め用意しておいた星鉱石のインゴットを投入。
星の理に良く馴染むこれを使い、造り上げるのは──入れ物。
これ自体がメインなのではない、あくまでもソレを入れるためのモノが必要だった。
出来上がったソレに穴や開くための仕掛けは無く、完全に密封されている。
だがこれはファンタジーが一部混じった代物なので、量子的な転送が可能なのだ。
これから造り上げる本命を、この後入れ物に入れることでアイテムは完成する。
……そう、ここまでやっておいてまだ準備段階に過ぎない。
先んじて“幸上”を使って、後に何か問題が生じないかの確認でもあった。
「というか、機械箱庭とフリシア様の相性が良過ぎる……だってあそこ、攻撃性のある魔動を除けばほとんど自分でやらない判定になるもんな」
実際、俺は機械を操作してアイテムが出来上がるのを見ていただけ。
術式の発動条件的に、能動的な行動はそこまでやっていないので効果を受けられた。
能動的、の定義は日常行動に含まれる範疇かどうか。
仕事として、ボタンを操作して機械を動かす……なんて人も居るだろうからセーフだ。
結果、指定した通りのアイテムが出来上がり次の工程に移ることができる。
ありがとうございます……ただ、ここからは能力を使うので解除させてもらいますね。