巧天の試練 その07
巧天の試練 その07
エテーテルドライバーを駆動させ、エネルギーを供給して起動した[冒剣]。
生み出されるエネルギーで身を物理的に焼かれながら、たった一度抜剣。
それだけで、破壊不能オブジェクトとして設置した案山子は切り裂かれる。
さすがは『最強』を組み込んだ剣、万物を断つ剣が今ここに誕生した。
「……まあ、それを使うだけで使い手が死ぬなら、もう呪いの武器扱いされそうな気がするけど。これ、俺以外だとどうなる?」
《最低でも『巧匠』、あるいはそれに匹敵する補正を可能とする何かが必要です。規格外であることを前提としたため、それ以下の出力ではエネルギーの供給が不完全となる設計ですので》
「使えない、という意味なら死ななくでいいわけだ……で、使える場合は?」
《専用の装備を設計しなければ、今回同様に自傷ダメージが発生します。耐性スキル、一定のVITがあれば稼働の間持つでしょう。しかし、それでも使用した瞬間の負荷は別です。そちらの影響で死亡するかと》
「……[ログ]的にも、そうなっているか」
今回、[冒剣]には制限というものをいっさい設けていない。
求められる理想を体現できる、スペックを揃えること以外気にしなかったからだ。
強過ぎる力にリスクがあるように、この剣にもまたデメリットが存在する。
回数制限、使用時間制限、そして使用時の反動負荷だ。
俺の場合、どうせ死ぬし『超越生者』の権能で無敵化しておけばそれを無視できる……かなりズルいやり口だが、そうでもしないと成立不可能だったからな。
「まあでも、規格外ゆえの仕様ってことにしておこう。俺みたいに、それをどうにかできるヤツなら使えるだろうし。あと、それ用の防具があればどうにかなるんだろう?」
《はい。全身装備を前提とした、専用の供給経路を造ることでおそらくは。そのうえで、更に代償の受け皿となる専用の媒介を設けることで、完全にデメリットを消すことができると思われます》
「かなり手順を踏むな。でもまあ、それだけでこの剣が使えるなら、ある意味安いものなのかな? ……あー、『SEBAS』。いちおう聞くけど、願望機と接続とかは?」
《……その通りです。願望機のスペックであれば、すべての問題を排除可能です》
そもそも、願望機は人の願いを何でも叶えるような超絶スペックの持ち主。
どんな姿にも成れるし、そもそも今回の発想も元を辿れば根幹は願望機である。
……なので、本末転倒だが願望機を使えば問題なく[冒剣]も振るえることだろう。
だがまあ、それをするのは生産職として敗北な気がするし……アイデアだけ使うか。
「──って、それは後の話だな。とりあえずこの二つの設計図で、今回は試練を突破しよう。どうすればいい?」
《では設計図を物質化、それを[クエスト]として登録されている試練の画面に投函してください》
「なんでそこだけシステム感多めでやっているんだか……これでどうだっと」
指示されるがまま、用意した設計図二つを提出してみた。
すると、設計図が宙に浮かびそのまま消えていき……UIが更新される。
「『評価中~しばらくお待ちください~』だとよ。これ、ダメだったら作り直しか?」
《おそらくは。この空間に訪れることは月に一度ずつなりますし、設計図の提出回数に制限が設けられております。それを達成する前に『巧天』が奪われない限りは、何度でも挑むことができるでしょう》
そして、しばらくして画面は更に切り替わり──試練達成と表示されると、俺の下に一枚のメダルが落ちてくるのだった。