RSプロジェクト開始 その06
RSプロジェクト開始 その06
招いた者たちの中でも、協力的でありながらいろいろと危うい『忌創展概』。
彼女にはRSプログラム関連の情報を渡して、大人しくしてもらおう。
「──これで良し、と。『SEBAS』」
《マーキングの除去、完了しました》
「まったく、油断も隙も無い連中だよ。というか、『プログレス』抜きで『プログレス』以上に巧妙な隠し方をしおって……」
かつて休人たちを招いた際も、アイスプルの情報を得るために彼らは仕込みを行った。
擬似権能である『プログレス』を組み合わせた、厄介な隠し方も当時は暴いている。
だが今回、本物の権能を持っている連中は一味違った。
まず第一に、痕跡をいっさい残していないという面倒臭さ。
それでも俺がそれを見つけられたのは、予め警戒をしていたからだ。
……開催場所を 迷宮にし ・・・・ 、終わった後は廃棄するという徹底ぶりで。
念のため、開催前との差異が無いかを見てみれば……結果はご覧の通りというヤツだ。
まあ、それはそれで彼らの仕込みを自分のものに利用できるからいいんだけどさ。
「『騎士王』は……えー、もう魔術とルーン以外はよく分からない複合術式。『理操の導き手』は魔術と魔法のいいとこどり、に思えるがあってるか?」
《加えて、精霊術や呪術や召喚術など、媒介系の術式なども組み込まれておりますね。大変緻密な構成です……少し弄るだけで機能不全を起こします》
「さすがは魔導世界随一の術者だな。それに匹敵するレベルの術式を編んでる『騎士王』もヤバいけどさ…………『忌創展概』についてはまあ、ノーコメントで」
禁忌をやりたい放題できる彼女なので、今回もまたそんなやり方でマーキングをしようとしていた──具体的には、世界に直接刻むレベルで。
物理的な痕跡は残らない、が次元というか別空間的な部分に仕込みを入れるのだ。
人体でいうなら、死角に匂いを仕込んだ二人に対して発信機を埋め込んだようなもの。
「アレって放置すると不味いんだよな?」
《現状では問題ありませんでしたが、それを利用した場合が危うかったです。次元に亀裂が生じ、そこから異形が現れる可能性がございます》
「異形……ああ、あの星敵みたいな感じか」
思い出すのは監極初日。
なんやかんやで戦うことになった、名状しがたい存在。
普通に生息する場所なんてないであろう彼の存在が居るのが、そういった次元の間のような場所なのだろう。
「……よくもまあ、そんな仕込みするよな。遠隔でアップデートして恩を売りつつ、発信機の機能を搭載しようとした『機械皇』の謙虚さ(?)を見習ってほしい」
うちの銀花は『機械皇』の所から出向していて、もともとは発信機が仕込まれていた。
それ自体は取り除いていたのだが、同系統のプログラムを送って来ていたのだ。
現在は隔離された空間で、いいとこどりをするための解析中だ。
有用なのは間違いなさそうだし、利用できる部分はしておきたいしな。
なお、ムーの王族二人については、特に何もせず帰っていった。
まだ彼らにとって、それをするだけの価値がここには無いわけだ……いづれ分かるさ。