RSプロジェクト開始 その08
RSプロジェクト開始 その08
RSプログラム、そして共通規格版で設計したメカっぽい武器を売り捌く。
そのために偉い人たちに話を通したが、もう一つ筋を通す場所があったらしい。
機人族、機械の体を持ちながらも人族として認められた人型範疇種族。
彼らほど、ロジカルシリーズの原人側ユーザーとしてピッタリな人材は居ないそうだ。
「で、迷宮やら人造迷宮やら隠れ里やら、行けそうにないとこばかりだな。参考までにこれだけは知りたいんだが……魔導世界のアレはどういうことだ?」
《各世界は時折、交流と称して自らの世界の迷宮を交換しております。旦那様が気にしている『皇去りし機底界』は、その名の通り監修を『機械皇』が務めたものです》
「…………当人が魔導世界の出身、とかそういうことではないよな?」
《はい。彼の存在は生まれも育ちも冒険世界の機人族です》
すでに赴いた休人たちの情報によると、どうやらかなり『機械皇』が信仰されている場所らしい……いったい何をしたのやら、あの人は。
ともあれ、メカっぽい存在にこそメカっぽい武器は相応しいという理屈で、彼らにロジカルシリーズを知ってもらうわけだ。
「設計図通りに造ったとして、別に機人族単独で使えるわけじゃないよな?」
《はい──現状では、そうですね》
「……それができるからこその、機人族というわけか」
《最適化、適応、自己改造。彼らは体の一部が機械であるという性質を活かし、様々な要素を取り入れようとします……そのため、各世界で異なる機構を持っていたり、同じ世界でも見た目に差異が生まれます》
まあ、同じ人間であってもファッションやコスメに違いは生まれる…………その更に上位版みたいなものだろうか?
自分で言っていて違和感が半端ないが、これだと機人族が中高生ぐらいの女子みたく思えてしまうな。
「ま、まあ、それはともかく……つまり、俺はこれからいろんな世界の機人族の場所に行くことになる、のか?」
《当初はそういったことを計画していたのですが……『機械皇』の行った強制アップデートの中に、面白いものがございました》
「この流れで言うってことは、問題を解決できる何かってことだよな?」
《はい。発信機としての機能を利用するためでしょう、各世界の機人族たちとの交信が可能になっております。その信号を傍受することが目的だったのでしょうが、外付けで発信座標に細工を入れることに成功しました》
何でも、機人族同士で交信する機能が存在しているらしい。
それは休人たちが扱う[掲示板]にも似たもので、情報の交流場なんだとか。
なお、『プログレス』の擬似[メニュー]機能に、[掲示板]は含まれていない。
再現はできなくもなかったが、容量の方的に難しかったからだ。
それ専用の擬似権能を発現したならば、できなくもないだろう。
機人族のような下地があり、休人たちのような界隈がすでに存在しているので。
閑話休題 さいげんせい
ともかく、そんな交信機能にも若干の制限が存在していた。
──あくまで同世界間のみ、また特定の接続方法でのみアクセス可能という点だ。
それこそ、外部からの盗み見などを防ぐための対策だろう……が、『機械皇』レベルの存在ともなれば、そういったファイアウォールなんて軽く凌駕してしまう。
《『機械皇』のシステムを用いることで、各世界のメイン交流網にアクセス可能です。乱用すれば解析され侵入を阻止されるでしょうが、今回の場合はレシピを送り付けるだけですので問題無いでしょう》
「……なんかやっていることから犯罪臭がしそうなんだけど。まあ、自分で行くより手っ取り早いし、そうしてもらおうか」
《畏まりました。では、銀花にレシピのデータを送信してもらいましょう》
そんなこんなで、俺の機人族交流回は行われずに破棄となった。
RSプログラムの最終調整などもあるし、いろいろとやることが多いのさ。