新機プロジェクト その01
新機プロジェクト その01
始まりの街
何らかの条件付けでイベントの開催を決めている運営であれば、技術レベルの進歩で解禁してくれるコラボもあるのでは……そう信じて、俺は共通規格版の武装を広めた。
ただの妄想であり、そんなことあり得なくとも別に損は無いからな。
運営との契約により、ある程度の権利は保証されている……不労所得ががっぽりです。
「なっ、そんなに変化は無いだろう?」
「急激な変化は見込めぬ、ということか」
アレから現実で数日、EHO内部であれば更に時間が経過している。
盛り上がりを見せていた二種類の新規コンテンツだが、世界への影響は小さかった。
その辺のことを確認するついでに、いつものように串焼きを『騎士王』と食べる。
……屋台のオジさんも、上級職に就いてから更に腕が良くなったんだよな。
「RSプログラムのメイン部分は固有種との遭遇が必須なうえ、討伐にもっとも関与しないといけない関係上、サブ部分の魔石による調整をかなりやっておかないといけない……滅茶苦茶時間が掛かるんだよな」
「そして、それを補う体裁で用意された例の機械も、それそのものを使うだけでは、固有種討伐を可能とするほどの実力は出せない。むしろ、強者にとっては枷になる……か」
「あくまで、休人たちの趣味を満たす、あるいは非力な民たちの補助具……ぐらいでしかないんだよ。まあ、『プログレス』や職業と組み合わせれば、強大な力を得る可能性も無くはない……が、相応のコストが要るよな」
共通規格で用意した動物型と図形型、それらと接続して真価を発揮する機械仕掛けの武装──それらもまた、現段階ではちょっと強力な魔具ぐらいの扱いだ。
「貴公に一つ、言っておかねばならないことがあったな」
「?」
「各世界の機人族たちが、何やら動きを見せているようだが……心当たりは?」
「あの人たちの権利とかに触れると揉めそうだったから、先に設計図とかばら撒いて向こうが損しないようにしたぐらいだぞ?」
「……それだ。一部の者たちがイベント世界に向かい、隠れ里の者たちもまたムー世界の者に接触し、何かを計画しているようだ」
少なくとも、これは俺も把握していなかった出来事だ。
直接やり取りをすると、いろいろボロが出そうだったからな……。
データの送信には、『機械皇』が用意していた情報送信機能が役立った。
そこに、俺がもともと家族用に準備していた転送装置を合わせて送信に成功している。
だが、そこまでだ。
レシピ以外の情報は送っていない……ただ一つ思いつくことがあるとすれば、共通規格のエテーテルドライバーに陽鉱石が使う点。
各世界、休人たちとの交流がまったく無いわけではない。
そして、彼らと話せば陽鉱石の基となった陽石や陽珠の存在にも気づくだろう。
「……なんか、不味いか?」
「なぜ集合しているのか、そしてその目的がどういったものなのか判明していない。この世界の機人族も動いている以上、他人事とは言えぬ。『生者』、責任を取れ」
「…………はい」
とはいえ、一番気にしているのは技術の流出云々では無かろう。
冒険世界には『機械皇』が居る以上、あの人だけで技術の発展が可能だからな。
彼女自身が語る通り、分かっていないことが多過ぎるのだ。
まさしく、俺が撒いた種が引き起こした問題だ……動くしかあるまい。