新機プロジェクト その10
新機プロジェクト その10
海の上で始まったのは、機械の残骸を取り出しての放出。
環境汚染感が半端ないのだが、今は座席の中から様子を窺うのみ。
「魔物が来ますね……下からです」
「ええ。それは私たちだけでなく、あちらでも把握しているでしょう……見てください」
そう言われたので見てみれば、たしかに現れた魔物にすぐ対処し始める休人が一人。
たしか、武闘世界支部担当と言っていた男だ……妥当な選択だな。
「ですが、独りで大丈夫ですかね?」
「彼の『プログレス』は継続戦闘に向いたモノですので。先生のロジカルシリーズのお陰だと、感謝していましたよ」
海の魔物は地上の個体に比べて強い。
海が内包する魔力量が、地上よりも高密度だからだ。
だがそんな相手であっても、彼は身に纏うロジカルシリーズを使い戦っている。
自己紹介をした際にたしか言っていた、彼の職業は──
「【機闘士】でしたか……なるほど、アレも職業の恩恵を維持できるモノでしたか」
「やはり仕様なんですね。我々も初め、どの職業であれば能力を使えるか調べました。大きくビルドを変えたりと苦労したものです」
「ドライバーのエネルギーが、影響しているようです。ただ、それを考慮した仕様になっている職業であれば、問題ないみたいなんですよね……」
うちのアリアの就いている【神風兵】のような、搭乗する前提の職業。
どういった動力源であっても、対応するための仕様が組み込まれているのだろう。
男もまた、【機闘士】の職業能力らしき人並外れた挙動で魔物を相手取っている。
稼働中は人外スペックな共通規格ロジカルシリーズなので、上手く扱えているだろう。
閑話休題 ロボットパワー
そうして時間稼ぎが行われている間も、作業は続いていた。
違法投棄を続けていた面々だが、ここで変化が見受けられる。
「──っと、アレはいったい……」
「『プログレス:ジャンクションギア』。規格の異なる機械などを繋げ、接続することができます」
「それは……」
「ただし、あくまで繋げて一体化させるだけですので。当然、規格の合わない機械を無理やり接続すれば、エラーを吐き出します」
「だから、もう一人ですか」
歯車を生み出し残骸として放出された機械の接続を行う休人ともう一人、工具のような『プログレス』を使い歯車が繋がった場所で何やら作業を行う者が居た。
「あちらは『メカクリニング』です。触れた機械の診断や改善、システムの復旧などもできるそうです。二人の力で機械を正常な状態で保ち続け、これから俺たちの計画──人造大陸を創ります!」
どれだけの機械が必要になるのか。
だがそれを念入りに計算して、『トイポイボックス』にそれ以上の量を確保しているというのだから凄まじい。
特に、冒険世界の迷宮『メカトギア』から得られる機械の類いが多かったようで。
出現する魔物の大半が、ドロップ品として残骸を落とすらしいからな。