新機プロジェクト その11
新機プロジェクト その11
冒険世界の迷宮『メカトギア』。
機械系の魔物が徘徊するその迷宮では、多くの機械がドロップするらしい。
ただし、獲得した時から使える状態というのは非常に珍しく、基本的にドロップするのは残骸の類いばかり。
そういったものは、迷宮内に住んでいる機人族たちが引き取ってくれる。
代わりに補修した機械を貰えるので、休人たちは挙って残骸を提供してくれたようだ。
だが『メカメカ団』魔導世界支部の代表にして、運転手であったド・ライブ曰く。
──残骸は必要以上に貰い、着服したパーツで居住区を発展させていたらしい。
「実のところ、残骸の中にはこれまで機人族の方々でも使い方を見出していない物があったみたいなんです。そういったものは使うこともできず、しかし捨てることも無く溜められていました」
「……それが、アレ?」
「『メカメカ団』が調べたところ、どうやら別世界の産物らしいんですよね。機械箱庭のような、まったく異なる文明で生み出された機械。そういった世界にとっての異物を、迷宮は排出しているんです」
「…………なるほど」
ふと、思い返したのは似たような事例。
本来冒険世界の、そもそも他の世界でも存在を考慮しているのかどうか怪しかった、とある機械の残骸。
それが運営側で用意したアイテムから出てきた……つまりは、隔離されていた物を休人という異物に押し付けた。
「『奇跡の秘箱』や『賽祈箱』みたいな物ですかね……」
「先生も使ったことがありますか? 俺たちも何人か、開けたことがありますよ……あまりいいものは出ませんでしたが」
「そうですね……私自身で開けようとした物は、そうなりましたね。裏技、というほどではありませんが、運のいい人に助力を願うと意外と良いものが出るかもしれませんね」
「運……アズル教団や月猫信者の方に頼んだ方がいいんですかね?」
「それは貴方がた次第ですよ」
現実でも稀にある、代行してガチャを引いてもらうというアレ。
それはEHOでもいちおう可能だ……結果はともかくとして。
なお、その際に揉めるであろうアイテムの所有権。
先に挙げたガチャアイテムなら、基本的にそれを持っていた者に優先権が与えられる。
なので正当な報酬を先に払っておけば、何事も無く箱の中身を手に入れられるだろう。
……相手が窃盗系のスキルを持っていないか、その確認は必要だけどな。
「とはいえ、人造大陸でしたか……それだけの量を溜めて、機人族の方々は何をするつもりだったのでしょうか?」
「もともとは『超越者』、『機械皇』という方に献上する予定だったそうです。ただ、今回俺たちの計画を聞いて、先に許可を貰ってから使うことを許諾していただきました」
「…………そう、でしたか」
この騒動を聞いた時、『騎士王』は原因を知らないと言っていたが……どうやら、黙っていた者が居たらしい。