新機プロジェクト その21
新機プロジェクト その21
俺と共に、宙に浮く椅子と机で寛いでいた逸脱した連中たち。
戻ってきた操縦担当の休人は、彼ら……とその装置そのものに目を向けている。
待ち時間でだいたいの事情は説明した。
彼ら自身に陰謀のようなものは無いし、連れてくる機人族たちも、彼らの夢に魅せられた者たちだということを話してある。
結局のところ、危険視されているのは機人族たちが集まることそのものではない。
集まった人数というか、一定以上の人数で演算を行うことを避けたいのだ。
ならば、その可能性とやらを明確に知ればいい。
そのうえで、条件を防げれば何ら問題も無かろう。
「──ほら、この世界にはあるでしょう? その未来を知るために適した物が」
「……なぜ君がソレを知っているのか、は今更過ぎるから聞かないよ。でも、アレを使うための鍵はもう失われ──ッ!?」
「修復しておきました。一度切りならば、使えるかもしれませんね」
だいぶ昔、初めて暗躍街を訪れた時。
それは『極拳』のアジトに仕舞われ、その価値を見出されることなく眠っていた。
俺と『SEBAS』はそれを回収し、少しずつ解析を進めていき……案役街の者たちの協力を得て、どうにかソレを使えるまでに修復することに成功する。
「もともとは『古びた鍵』、としか情報が出ませんでしたからね。あれこれ手を加えて、ようやく出たのが──『軌謀神算機アクセスキー』。詳細な情報は、だいたいそちらに」
「……それを君は、どうするのかな?」
「交渉の材料に。どの世界でも、これは喉から手が出るほど欲しいでしょう? 使い道はともかく、まず使えなければ意味が無い。それを知るためにも、交渉に応じていただけると幸いです」
「…………ははっ、驚いた。すべては君の掌の上だったということかな?」
「まさか、そんなことは。これもまた、一つの命運だった……それだけですよ」
アクセスキーは『SEBAS』が価値を見出して回収したが、そもそも暗躍街の……それもそういった物が無さそうな『極拳』のアジトで見つかったのだ。
狙ってできるようなことじゃないし、創作物なら忘れられるぐらい間を置いた布石。
……関わり合いになることも、ある種の命運なのかもしれないな。
「使い切りですので、私が提示する条件は一つ。これを皆様が恐れる事態の発生条件の割り出しに使う、そのうえで穏便な方法で防ぐために協力する……です」
「今、君を殺して奪う……というのは、無理なんだろうね」
「『剣矢』さんこそ、冗談が上手い。そんなことをするより、私から受け取って調べた方がまだ価値がありますよ」
「……まあ、それを決めるのは上の者たちになりそうだからね。やれやれ、下請けの者はこれだから苦労する」
「では、誓約書を用意してこの場の方々に署名してもらいましょう。物が物だけに、口約束とはいきませんので」
もし、俺がこの場で鍵を手放せば──その瞬間に争奪戦が始まるかもしれない。
彼らの意思ではない、星からそんな指示が下るかもしれないからだ。
それを防ぐためにも、今は手を出さないでもらおう。
──ちょうどよく、機械に詳しい集団が集まる場所ができたわけだし。