死天の試練二回目 その01
死天の試練二回目 その01
イベント世界 闘技島 特殊空間
家族がクリアした試練を聞き、やはり一番大変なのは『死天』では、と疑った。
終わりが見えないし、難易度だけは上がっていくし……どうしたものか。
「ショウやマイみたいに『プログレス』が突破の鍵になる試練もあれば、ルリみたいに当人の技量が求められるものもある…………なら、俺のこの試練は何が必要なんだ?」
アレから丸一日が経過し、再度試練への挑戦ができるようになった。
広がる光景は相変わらず絶望的、まったく減っている気がしない敵性ユニット群。
触れただけで死亡判定を受け、初期地点に戻されるこの試練。
死を突破するという課題が、何を求めているのか曖昧では無いだろうか。
「 遺製具 レリック と『プログレス』、これはオンリーワンな代物だ。コピーできないことにするのはまあ妥当ではあるんだが……俺自身がその否定みたいなものだから、勝手に疑ったりしちゃうんだよな」
人造遺製具や『プログレス』のインストールなど、我欲でかなりやらかしている。
ただし、それらは運営の権限で用いれば、決して真似できないわけでは無いのだ。
とはいえ、少なくともこの試練の場では用いなかった。
……できないのかやらないのか、分からない以上出し惜しみをしてしまう。
「けど、それだと終わらないからな……今回は少し解禁しよう──[モルメス]」
俺に帰属した専用武具。
魂を切り裂くメスを呼び出し、装備する。
同時に特に銘も無い七本のメスを準備、装備はしないが指の間に挟んでいく。
「『SEBAS』、操作は任せます」
《音声入力を確認、肉体操作を実行します》
「最後は自壊だろうが……まあ、それは今更だから問題無し、それじゃあ開始!」
一歩踏み出した瞬間、敵性ユニットたちが俺に襲い掛かってくる。
だが俺(を操る『SEBAS』)は動じることなく、ただメスを一本投擲。
それだけで、警鐘を鳴らしていた死亡レーダーが鳴り止……むことはなく、再び警鐘が鳴り響く。
目の前には何もいない、しかしそれはどこからともなく俺を殺しに掛かる。
不可視の死因、風かあるいは重力か……それに対し、『SEBAS』は術式を起動。
「──“器施壊逝”、“必射的中”」
限界突破の術式、それと軌道を捻じ曲げられる術式を同時に発動。
一瞬のみ、超人的な身体能力を得た俺はその場から離れるように後方へ跳躍。
持っていたメスの内、六本を辺りに撒き散らし──死亡する。
五本が周囲に居た敵性ユニットへ、そして残る一本も何も無い場所に留まっていた。
おそらく、というよりほぼ間違いなくそこに敵性ユニットが居たのだろう。
……こうして二回目の試練は、幸先の良い減らし方から始まるのだった。