死天の試練二回目 その08
死天の試練二回目 その08
魔力を増やし、高出力の魔法によるごり押しで敵性ユニットを一気に減らしていく。
一度に付き千体まで、完全ではないものの三桁は確実に巻き込んでの自滅だ。
「──“界樹統誕”」
神・世界樹の苗を足元に設置し、魔力を注ぎ込み急成長させる術式を起動。
過剰魔力がその速度を爆発的に高め、敵性ユニットを呑み込んでいく。
「やっぱり質が問題か……枯らす、燃やす、腐らせるなんて死因もあったはずだが、どれも効果を発揮し切れていない。相性もあるにはあるんだろうが、それ以上の力で圧し潰せば権能なんかもどうにかなりそうだな」
ソレは俺にも当て嵌まるからこそ、決して油断はできないのだが。
元『超越者』、現星敵である俺の権能は単純故にその理を強制しやすい。
やっていることは、[死に戻り]をどこでも行うという一点のみ。
オプション効果もあるが、そちらを抜きにしてもこれだけは確実に機能する仕様だ。
では、運営がそれら権能を模して創ったであろう『〇天』たちはどうだろうか。
攻撃系の『闘/魔天』であっても、干渉を擦り抜ける防御無視の性質を秘めている。
これは下位の『闘/魔匠』とぶつかった場合に、何重にも絶対防御のような性質を重ねることで防ぎ切ることができる、という検証データが出ていた。
天秤がより重い方へ傾くように、理もまたより力を秘めたルールを適応させる。
魔力は世界を改変する因子、『死天』が死の因果を内包するならばそれを超えるのみ。
《旦那様、すでに動力炉が何台か底を尽きそうです。補充をお願いします》
「……まだ数発しか打ってないのにこれか。効率が悪いがまあ仕方ないか」
神・世界樹により、千体の敵性ユニットは突破された。
枝に掴まり上に登っていた俺は、再び元の位置へと戻される。
そこへ『オーバーサプライ』と接続した上級動力炉を再設置し、魔力を供給していく。
すべてがリセットされるわけではなく、使用した物の状態は使用後のままだ。
魔力も無くなったら再度補充する必要があり──再び、枯渇による死亡が嵩んでいく。
しかしそれ以上に数を減らせるのだ、充分にお釣りが出ていると判断しよう。
《旦那様、よろしければ例の召喚をしていただきたく》
「ん? あー、まあやり過ぎるとバレる可能性があったから止めてたのか。そうか、ここならバレても問題無いし、入って来れない可能性もある……うん、アリだな」
用意していた術式をキャンセル、代わりに展開するのは召喚術式。
座標は魔導世界、星の【勇者】と世界により秘匿された特殊な場所。
「──“検索召喚”」
従魔などをその位置に合わせて召喚するのではなく、座標を指定してその場所にあるモノを召喚するという……『愚かな賢者』から貰ったいろいろと非合法な術式。
その効果はすぐに発揮される。
膨大な魔力は普段以上の範囲、そして強制力で座標に在るものをこの場へ引き摺りこんでいく(設定で人は含んでいない)。
「『SEBAS』の仮説通りなら、まだあの時に使われていなかった事象が残っているんだろう? さぁ、【魔導勇者】の技を盗ませてもらうか」
魔導世界を構成する十の魔道、そこには存在しない零の魔道とも呼べる場所。
俺が得た六つの座標とは異なる、新たなる領域へと手を伸ばす。