死天の試練二回目 その12
死天の試練二回目 その12
イレギュラー存在からの視線は、この場に穴を開いた俺を解析し続けていた。
それが終われば……そう願ったものの、穴は閉じることなく──ナニカが降ってくる。
「『アルス・ナギマ』……」
「“言霊刻訴”──言葉は伝わっている」
「! …………これはこれは──」
「不要。話を進める」
推定生きた術式“アルス・ナギマ”。
術式そのものであるはずのその概念が、穴から送り込んできたもの──それは、言葉を発するマネキンのような人形。
最初の一言、[ログ]を確認するに何かしらの術式なのだろう。
その影響によって、俺とあちらとで言葉を交わすことができていた。
「この空間の意義を」
「……運営、星渡りの民の統率者が設けた一種の隔離空間だ。最上位職の試練用の空間と同じ仕組みで、ここの場合だと見ての通り敵性ユニットを突破することが目的だ」
「見合う力を得られると……次。これまで、アプローチを採ってきた術式の詳細」
「“検索召喚”、御宅の『愚かな賢者』から譲り受けた術式だ。【魔導勇者】からいくつか座標を手に入れていたから、それを使って他の座標も割り出していた」
隠し事は意味が無い、【魔王】とのやり取りでその辺は知っているため素直に話す。
まったく情報に無い相手、だからこそ少しでも情報を集めておきたい。
「……すまん、俺は『アルス・ナギマ』氏みたいな存在が居ることを知らなかったんだ。だが、知らないで済むことじゃない。周辺をウロつかれているみたいで不快だったか?」
「? …………理解。そういった感性は持たない。しかし、座標へのアプローチは大変興味深いもの。詳細を」
「あー、それについては俺よりも相応しいヤツが居る。呼んでいいか?」
「了承」
「来てくれ──『SEBAS』」
人と在り方自体が違うアルス・ナギマ。
ここまでの流れから察するに……術式関連の情報こそを第一に行動しているのだろう。
……『愚かな賢者』もそんな感じだったけど、そういう存在が集まりやすいのか?
なんてことを思いつつ、『プログレス:セバスチャン』を意識して発動。
「お呼びでしょうか、旦那様?」
「アルス・ナギマ氏が、俺たち……というより『SEBAS』がやっていたことについて詳細を求めている。求められる限り、情報を開示してくれ」
「──畏まりました」
補助のためにと、最初からインストールを済ませていた『セバスチャン』。
俺が必要とし、求めたことであればたいていのことはやってのける補正を得られる。
今回で言えば、[インベントリ]を介しての特殊エリアへの侵入。
常備している人形を操作することで、あたかも召喚に応じて現れたようにできる。
「それでは、アルス・ナギマ様。ご説明いたします」
「拝聴」
心なしか楽し気なアルス・ナギマを見て、この選択は正しかったと判断する……いちいち俺が間に入って説明すると、難しい話がしづらいから満足できないだろうしな。