三つの究極術式 前篇
三つの究極術式 前篇
アイスプル
今回もまた、敵性ユニットを倒し切ることは無く試練は終了した。
が、収穫はある……それはアルス・ナギマから受け取った、三つの術式だ。
「──“○○・究極術式”か。うん、物凄くカッコいいってことが分かった」
《それぞれ、『仮創・架想・加装』と本来のモノではないと示している名称です》
「……その辺のセンスもあるんだよな。まあ今は休人も術式を開発しているわけだし、そこから学習とかしたのかもな」
《そうですね。【式魔師】、魔導世界特有のオリジナル術式の開発補助。その仕組みはアルス・ナギマによるものでした》
術式の開発、術式の索引、そして登録。
本来アルス・ナギマという生きた術式が単一で行っているものを、『愚者の石』という狭い容量で可能としたのが三つの術式だ。
俺が見ていない間に『SEBAS』はアルス・ナギマと話し、情報を交換していた。
うちで秘匿する情報は禁忌関連ぐらいなので、それ以外はだいたい了承済みである。
そして、その中で得た情報の一つ。
魔導世界限定で就ける職業【式魔師】……だがその職業の本質は、知られている仕様である術式の開発ではない。
それは“架想・究極術式”同様に、術式を纏めたサーバーとも言える場所──神代魔道具『統魔の叡典』へアクセスし、アルス・ナギマと接続するためのもの。
結局のところ、術式のカスタマイズも人によってやり方が違う。
完全に一から構築する場合はともかく、そうでないものは一部を自動で済ませる。
その自動、と思われている部分を人力ならぬ術式力で行っているのがアルス・ナギマ。
収集された術式から最適なものを選び、求められる術式の開発に活かしているらしい。
「術式の開発……『SEBAS』、何かデメリットとかはあるか?」
《開発した術式、またその構築過程が知られるということ以外は無いかと。ただ一つ、あるとすれば──》
「すれば?」
《各術式に設けられた制限、そしてその緩和にアルス・ナギマの意思が関与している点ですね。術式や魔技に関する情報を提供することで緩和するようですが、それでも主導権はあちらが保持し続けます》
制限、一日に使える数やら構築できる術式の出力などいろいろとできないことがある。
それらを取っ払うためには、アルス・ナギマが満足するナニカが必要なわけだ。
まあ、魔導世界のイレギュラー存在と繋がりを持てるというのは悪い話ではない。
情報を小分けして今は様子見、仕様を軽く確かめるぐらいだな。