死天の試練数十回目 その10
死天の試練数十回目 その10
敵性ユニット、『暴発の死銃』を突破するために選んだのは爆弾による遠隔爆殺。
そのための布石として、[エクリエンド]の能力やら【影法師】の能力などを運用。
結果、影のレールに乗った爆弾入り魔石を運ぶ怒涛の展開。
飛んでくる攻撃に触れないよう、緻密な操作で魔石を転がす──『SEBAS』。
「──おぉー、映画みたいだぁ」
一方の俺は、“破砕硝壁”に次元結界を混ぜ込んだものを連打中。
俺を殺せばすべてリセットされる以上、敵性ユニットたちがソレを狙うのは当然。
だからこそ、凌ぐための数十秒を稼ごうと腱鞘炎になりそうな勢いで抗っている。
次元を隔てる結界を、コンマ数秒単位で展開しては再起動を繰り返すだけ。
なお、当然と言えば当然だがやっていることが多過ぎて魔力はすぐに底を突いた。
なのでポーションを散布してもらい、回復しながらのチャレンジだ。
「右に左に下に……上に? えー、アレどういう理屈?」
《物理的に動かすだけでは軌道を予測されてしまいますので、影に弾性やベクトル操作の性質を与えることで、演算しづらくしております……ですが、それも近づけば近づくほど困難になっていきます》
「だろうなぁ。ただ、俺にイイ感じのアシストはできないからな……だから、そっちで合わせてくれるな?」
再び取り出すのは、『召玩銃・色災』。
誰でも使える仕様にしたこの魔道具は、魔力を銃自体が周囲から集めるので消耗せずとも術式を飛ばすことができる。
「呑み込め、『無』」
座標が指定され、“検索召喚”の術式は弾丸として装填された。
これまでの行動から、それだけで一撃で終わると理解している敵性ユニットたち。
迎撃……はしない。
俺のやることはたいていが一撃必殺、その分連発はしていなかったため、凌ぐ方向で動いていた。
「撃たせないつもりか……上手くいけば、そこで俺を巻き込めるわけだしな」
ある意味、立場が逆転する。
銃口の先に敵性ユニットたちが待ち構え、俺自身で『暴発の死銃』を直接撃ち抜かないよう肉壁となっていた。
とはいえ、今の状況でそのまま撃てば生まれるであろう事象に巻き込まれて死ぬ。
それは次元の結界を展開していようと変わらぬ事態、かといって膠着状態でもない。
《──間もなく到着します》
「よーし、ならやるぞ──『 曲射 ソイッ 』!」
引き金を引くと同時に、飛び出した弾丸。
すぐさま敵性ユニットたちが動く──が、その軌道上に敵性ユニットは居ない。
それはなぜか。
術式を撃ち出す際、弾丸と化す仕組み。
そこに手を加えたのだ──物凄く雑に説明するなら、弾丸というガワを着せている。
弾丸が真っ直ぐ飛ぶのも、真っ直ぐ飛ぶという弾丸を模しているからに過ぎない。
ならば、その仕様を変えるだけでいい……結果、曲がる弾丸が誕生したわけだ。
古い映画に存在した、曲がる軌道の弾丸。
それは本来、腕を振ることによる高等なテクニックなのだが……当然、俺単独でそんなことできるわけもない。
腕は振ったものの、それを可能としたのは銃自体の機構。
音声認識によって弾丸の性質を変え──標的である一体の敵性ユニットを襲う。