死天の試練数十回目 その13
死天の試練数十回目 その13
規格外ロジカルウェポン、Typeランス[追槍]──神器グングニルの模倣武器。
北欧神話が誇る、絶対追尾の槍によって敵性ユニットたちを一掃する。
「…………一回でか。さっきの気化爆弾も、同じ扱いなんだろうな」
さすがは百体分を千体、敵性ユニットたちが耐性を得る速度も一瞬だ。
お陰で絶対追尾も貫通も、耐性を付けた敵性ユニットたちには通じない。
「けどまあ、それは時間の問題。貫けないならば貫けるように、相手側を弱めればいい」
なんて理屈から、[追槍]には継続的なデバフ効果も存在する。
触れた分だけ耐性を低下させ、槍を拒むことができないようにしていく。
規格外エテーテルドライバーから生み出されるエネルギーの出力により、この法則はかなりの優先度を有する──少なくとも、神器や星具レベルでないと無効化できない。
「ただし、燃費が悪過ぎて二発が限界っと。使えなくなるのと同義なんだよな──ッ!」
再び投擲。
先ほどと同様に、槍は周囲の敵性ユニットたちに狙いを定めて飛んでいく。
すでに一度飛び、敵性ユニットたちを一度で貫けないことを理解した[追槍]。
穂先に刻まれた回路を通じて、先の機能を行使──数度の接触で、槍が敵を貫く。
「試練、というか運営側で用意できる無敵の限界もどうにか突破できる……と。これは貴重な情報だな」
上には上がいる、という言葉があるがそれはEHOのシステムにも言えること。
耐性、無効化、絶対や強制などのシステムによるダメージに関わる概念。
それらを両者ともに有していた場合、比べられるのはそれぞれの持つリソースと出力。
人で言えばレベルと能力値、双方が高ければ誰よりも強いという扱い。
だが例外的に、俺みたいにレベルは高くとも能力値が低い……みたいな場合もある。
つまりは出力、それを極限まで高めたのが規格外エテーテルドライバーだ。
「実際、最上位職の中には条件付きだけど無敵化するヤツだったり、同じく条件次第であらゆる防御を突破する……なんて能力もあるらしいからな。矛と盾、まさしく矛盾しているけどその解決策がリソースと出力だ」
あらゆるものを貫く矛と、あらゆるものを防ぐ盾。
双方が同時に存在するとして、ぶつかった場合にどうなるのか。
システムが付与した強力な耐性は、高出力の貫通効果によって破壊されている。
盾である耐性の根源であるリソースを、矛であるグングニルの出力が削り切った形だ。
それこそ、ゲーム的に言えばMP切れ。
耐性を使うことができなくなったユニットから、槍に貫かれて突破されていく。
本来はそういったやり方通用しないよう、リソース量も膨大となっている。
だが今回、グングニルがソレを上回っていたからこそできたこと。
まあ、同じことはできないだろう。
……こちらもまた、出力を発揮するためのリソースがたったの二回で尽きたわけだし。