神様談 中篇(32)
神様談 中篇(32)
──[称号]。
それは人々の功績を示すものであり、上位存在による目印でもある。
だが彼らがソレを拒むことは無い、明確なメリットとして恩恵が存在するからだ。
「──休人、星渡りの民を前提としたとしか思えない[称号]。元より、何千何万もの死が獲得条件となる[称号]があることだ」
難易度が高ければ高いほど、それに見合う恩恵が得られる[称号]。
ほとんどの者は一つ、いくつかの方法で増やしても数個のみ。
本来であれば、[称号]というシステムにはそういった決まりがあった。
そんな中でも、死──限り在る命を条件とする[称号]。
死を司る死神には、その存在が妙に引っ掛かっていた。
原人であれば分からなくもない、彼らの命は失われればそこで終わるのだから。
「そうだね、複数の命を保有する存在も居るには居るけど、基本的には一つだけ。休人たちみたいに簡単に死を選び、復活してはまた死ぬ短命な存在はそうそう居ないよね」
「ではなぜ、[称号]は有る」
「……僕がソレを知っていると?」
「腐っても我らが主神だろう、知っていることを吐け」
酷いなぁ、と苦笑する■■■──創造神。
かつて名を失った失名神話、当然本来の名も存在する。
その名を名乗っていた時期、それはあらゆる神話の頂点に君臨していた頃。
並み居る神話を捻じ伏せ、名実ともに最強最高だった存在──それが■■■である。
「もともと全知全能の権能なんて持っていなかったんだけどな……まあうん、その答えなら知っているよ」
「だから吐けと言っている」
「もう少し敬ってくれても……まあいいか。正解は──世界が広いからだよ。それこそ、僕たちが知る以上にね」
「……何だと?」
人族における最高到達点、レベル999になったツクルには、かつて本来知り得ることの無い情報がもたらされた。
それは星の禁忌であり、また神代やそれ以前の情報でもある。
──同様に、神々にもまた特定の条件を満たすことでもたらされる情報があった。
「主神格はだいたい知っているけどね、開示するかは神話次第だけど、うちは聞かれたら答えるようにしているよ」
「どれだけ知っている」
「僕と今君が含まれて…………まあ、十柱くらいかな? みんな好奇心が旺盛で何より、◆◆◆◆も含まれているよ」
「…………ハァ」
それまでの自分が、管轄である死以外に関わらなかったが故の無知。
そのことに、額へ手を当てて溜め息を吐く死神。
「それで、続きを聞くかい?」
「……言え」
それでも、まだ答えを聞いていない。
悩むのは後回しにして、今は■■■に語らせよう……そう考え、続きを促した。
「ははっ、まあこれ以上深く語ることも無いけどね。冒険世界、魔導世界、武闘世界、生産世界……その他いくつかの世界、これらを確立世界と呼ぶ。君も知っている通り、 あの ・・ 試練 ・・ を乗り越えた世界だけの名前だよ」
世界とは一つだけではない。
確立世界、その名は星にとっての[称号]のようなものだった。