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熱意の特訓 前篇

転生して進化したら最強になって無双します — novelba.com · All chapters

熱意の特訓 前篇

アイスプル 神・世界樹

死天の試練、その最後に最強敵性ユニットが登場するよう運営に打診した。

そしてそれは通った──準備期間が過ぎれば、挑むことができるだろう。

「うーん……」

『…………』

「うーん……うーん…………うーん……!」

『ええい、わざわざうるさい! 用件があるならさっさと言わんか!』

俺は今、とても悩んでいる。

そしてそれを、相談したかった……だからと言って、露骨に唸って引き受けさせてはいけなかったな。

相談相手には風兎をチョイス。

現在、『SEBAS』は別件で手が離せず大忙しなのだ──案を出す出して、全部任せているヤツが悪い……本当、すみません。

「悪い悪い。実は強くなるために、どうすればいいかと思ってな」

『いつも通りアイテムを作る、あるいは職業の経験値でも溜めればいいだろう』

「そうなんだけどさ……ワンパターンというかツーパターンというか。俺にできることって限定すると、それしか無いだろう?」

『それが貴様の限界なんだろう』

アイテムの力でごり押し、あるいは多重職業のごり押し。

すべてを達人級に使いこなせない俺は、合計というか総力で押し通すことばかりだ。

しかしながら、いづれ行うであろう試練の敵相手ではそうもいかないだろう。

最強の敵性ユニット、その響きに運営側も交渉時に何やら燃えていたし。

想定される強さは確実に『騎士王』級。

彼女を倒し切った経験の無い今の俺では、どれだけの死を積み重ねても勝てるという確信が持てなかった。

「それだけだとダメだと思って、いろいろ工夫してはみるんだけどさ……どうにも上手くいかないんだよ」

『例えば?』

「アイテムの取り出し。[インベントリ]から出すのにも一瞬時間を使う以上、より早く出すことが重要になるだろう? でも、思念式も手動でも全然速くならない」

思念式はいちいち画面を操作しなくても出すだけ楽だが、具体的なイメージや明確な指定が必要となるため、単独で戦闘している時などでは余裕が生まれずほぼできない。

手動式は手間は掛かるが確実に取り出せるものの、俺自身がモタついてしまうためやはり遅い……他の休人であれば、相応の敏捷値があるはずなのでこちらも対応可能のはず。

いちおう『SEBAS』にやってもらう形で行ったことがあるからこそ、その利便性は理解できる……俺自体が使えない現状は、改善した方がいいかもしれない。

『──これか』

「風兎はできるのか……そんなに速く」

休人でなくとも、『プログレス』に組み込まれた[インベントリ]で原人たちや魔物でも同じことができる。

風兎はスペック高めな星獣。

これぐらいできて当然なのだろう──と思いきや。

『ふんっ、勘違いするな。私も初めの頃は上手くいかなかった。だが、ここまでできるようにしたのだ』

「えっ? ど、どうやって……」

『簡単な話だ。何事も必要に駆られれば、否が応でも覚えていくものだ。貴様に必要なのは──ズバリ熱意だ!』

「ね、熱意!?」

何だろう、若干のスポコン感が……。

嫌な予感がして足を後ろに──下げようとしたのに、風が俺を絡めとるように足を掬い上げ、どこかへ運ぼうとしている。

「あ、あの……風兎さん?」

『安心しろ、私とて鬼ではない。先ほど協力してくれる民たちに連絡をし、貴様と遊ぶように伝えておいた。そこで生き残るため、全力で操作能力を磨け。そうすれば、この日のうちにマスターしているはずだ』

「いや鬼!? 鬼畜過ぎる、修行パートがいきなりハードモード過ぎやしませんか!?」

『…………ライブ映像を観ようとしていたその瞬間を邪魔されたことは、決して関係無いぞ。別に怒ってなどいない、ああ怒ってなどいない』

アイドルというか『アイラブ』のキャラが好きになっている、ドルオタな風兎。

……どうやら俺は、虎の尾ならぬ兎の尾を踏んでしまっていたようだ。