特訓ハードモード 後篇
特訓ハードモード 後篇
愚直に繰り返すことで練度を高める。
努力が実を結び、再現性を得る──技術とはそういうもの。
扱きに扱かれ、今度は固有種だらけの領域での耐久サバイバル。
盾だけではない、物を投げつけての相殺も行う必要があった。
「神聖術式──“至行”」
EHOにおいて【現人神】である俺が担う『試行』、それは人の研鑽を示す言葉。
試し行い、目指す形を体現する……俺は神として、その力を象徴することを選んだ。
結果、神聖術式もそれに沿ったモノに。
0%を1%にすることはできない……が、1%以下でも成功する可能性があるならば、その可能性を高めることができる術式。
「それじゃあ、来い!」
『いいだろう──民たちよ!』
『────ッ!!』
風兎の号令により、動き出した民──超越種や災凶種という固有種の最上位たち。
風兎に彼らを支配する力があるわけではない……単に、群れの長と理解しているだけ。
「盾、投げナイフ、それにポーション……場所良し、設定良し、準備良し」
生存する、その一点のみに限定すればその成功率は100%だろう。
だが今回の目的は、彼らの攻撃の内権能レベルの特殊な干渉を捌き切ること。
それゆえに準備は丹念に、ルーティン化したソレは精度を更に高めてくれる。
──人々の認識がそうだからこそ、俺の神聖術式もまた同様に。
「ふっ──!」
息を吐き、[インベントリ]を操作。
手の中に出現させたナイフを即座に掴み、それを降り注ぐ雷たちに当てていく。
避雷針、その要領で俺から逸らす。
上空でナイフが砕け散り、受け切れなかった衝撃が襲う──が、『超越生者』の権能によりそのいっさいが無力化される。
「第二波!」
雷の次は大量の砲弾。
時間が少々掛かった分、それらは全方位から俺を狙っている。
それに対し、今度はポーションを選択。
一種類を八本、指の間に挟んだ状態で取り出し──精確に、順に砲弾へ投げていく。
ポーションは宙を舞い、しかし蓋をしていないため中身が空気と触れ合っている。
宙に至った時点でその許容限界となり──砲弾付近で液体が爆発、砲弾へと降り注ぐ。
広範囲を爆発させるポーション、その効果で砲弾に対処する。
……練習を重ねてぶっつけ本番、というか実践での使用だが上手くいって良かった。
「って、もうちょい余韻に浸らせろ!」
『キュイッ!』
最速、風を纏う嵐兎──[ラヴィンド]。
その固有能力は、光の速度にまで昇華されたスピード。
無論、光の速さに対応できるほど人の体は優れてはいない。
しかしスキルや職業を用い、部分的に達人レベルになれば方法を見出せる。
危機的状況に【死戦士】の“死線思考”が発動、加え【死占術師】の“死星導視”も。
死の予兆を捉えた瞬間、該当箇所に対して[インベントリ]操作でアイテムを設置。
取り出し完了までのラグ、その一瞬もまたアイテムで補う。
超巨大な壁──否、盾を最短で近づく[ラヴィンド]の前に設置。
衝突してくれれば御の字……が、現れたそれを[ラヴィンド]は光の速度で回避。
しかしそれで充分、周囲に散らばるアイテムでこの場を凌いでいく。