特訓ヘルモード 前篇
特訓ヘルモード 前篇
次なる特訓は固有種たちと共に。
降り注ぐ雷、砲弾──突撃する兎を捌き、生を求め抗っていく。
「──“破砕硝壁”!」
『キュッ!?』
相手は光の速さで動く兎。
物理法則を超越したその力は、■■因子から成る固有能力によって成り立っている。
とはいえ、加速した肉体自体は物理法則に従って動く。
光の速度で動けても、光そのものになるわけではない。
つまり、壁は躱さなければその速度で衝突するし、擦り抜けることは不可能。
──そしてガラスにぶつかれば、その破片に苦しめられる。
『──ラヴィンド、退場だ』
『キュゥ……』
それを観ていた風兎により、退場扱いとなる[ラヴィンド]。
戦闘力という意味で俺は無力のため、ある程度攻略できた時点で離れてもらうのだ。
当人もとい当兎はとても悔しそうだが、蹂躙される未来か見えないので諦めてほしい。
光の速さで動く兎が退場した時点で、俺は勾玉に手を当てて次の準備に入る。
「──“ 再生入器 □ : ・ 光越の嵐 ラヴィンド ”」
固有種の因子、そして代償を支払うことで彼らの固有能力をその身で体現する 遺製具 レリック 。
そして何より、これは本来の持ち主が発動していない時しか使うことができない。
参加者は全員把握していたため、最初から使えなかった肉体超加速能力。
それを起動し、動きを速め──次なる攻撃に備える。
「“必射的中”」
空を見上げれば、無数の攻撃が俺の下へ降り注いでいる。
再び[インベントリ]式『抜刀』術、投げナイフを大量に展開して空に飛ばす。
術式によって投げたものは自動的に、目的の場所へ向かって行く。
……その進路がすべてマニュアル入力だからこそ、“至行”の効果で精度が増す。
「そして、届け!」
迎撃、そして反撃。
ただの投げナイフなので攻撃性能は低い、だが本番であれば殺意マシマシの代物を投げつける予定だ。
あちらもその想定なので抗いはする。
しかしながら、“必射的中”は通り道を物理法則を無視して生み出せるもの──曲がりうねり、多くの投げナイフが命中した。
今の俺は“光越の嵐”によって、投擲速度も光速となっている。
風の抵抗などは“必射的中”が防ぐので、本当に光の速さに対応できる者のみ残った。
『ナイフが当たった者は退場せよ。躱し切った者、触れる前に破壊できた者のみその場に残って良し』
風兎のその言葉に、残ったのは──三体。
本来の実力は周りへの影響を鑑みて出せておらず、それゆえの数……まだ多いが、今回は勝つことでは無く生き残ることが目的だ。
『ツクル、解除しろ。長く使い続けることも無いだろう』
「了解……したくないなぁ」
『さっさとやれ』
「……はい」
光速化が便利過ぎるのが悪い。
まあ、あちらも不意打ちの初見はともかくすぐに対応してくるだろう……泣く泣く解除し、残った三体への対応を行うのだった。