特訓ヘルモード 後篇
特訓ヘルモード 後篇
致死性の雨が降り、それを擦り抜けられる俺の姿をした擬態系の魔物が近づいてきた。
対応すべく取った俺の選択は──規格外プロットテクトを身に纏うというもの。
「着装──Typeスター[星形]」
『なんだよそレ!?』
「強化パーツだ……真似できないだろう?」
『くゥ……!』
姿形を擬態できる[ギミディアン]、それ以外にもスキルや固有能力なども対象だ。
しかし、そうではないものも……その一つが装備の持つスキル。
魔物が擬態しているから、というのも理由なのだろう。
あるいは優秀過ぎる擬態を維持するため、切り捨てた要素かもしれない。
「さぁ、反撃の時間だ」
『ち、ちくしョー!!』
プロットテクトとロジカル S シェイプ の[星形]が結界を生成し、雨から守ってくれる。
再び[インベントリ]を操作、無数の投げナイフを指に挟み──距離を取り放つ。
『近づけヨ!!』
「いや、俺の姿を維持している分、ヤバい能力もストックしてるんだろう? 確実に仕留めさせてもらう」
『くソ、油断しろヨ!』
擬態可能な存在は、相手の強さ次第。
俺の場合……虚弱だからか、マイナス扱いと聞いたことがある。
つまり、本来使えない強力無比な擬態を行うために、俺の姿を利用しているわけだ。
……[ギミディアン]の想定外は、再現できない強化アーマーがあったことだな。
『──ギミディアン、退場だ』
『うゥ……覚えてろヨ』
「はいはい、また後でな」
残っているのは二体。
しかし、正直これ以上の戦闘は不要だと分かっていた。
「ドローン隊、発進」
雨そのものが強力な攻撃というわけではなく、結界さえあれば生存可能。
なので中からドローンを飛ばし、発生源である[ハレイニー]を倒せばいい。
ここで問題となるのが、最後の一体である[ムテキ]だが……。
バトルロイヤルならばともかく、俺が生き残るだけなら何とかなる。
なぜなら──
『ハレイニーが気絶した。ムテキは…………動かんな。よし、今回はここまでだ!』
絶対的な防御能力の代わりに、その体は鈍重なものとなった[ムテキ]。
ぶっちゃけ、虚弱な俺の敏捷さよりも遅いのだ……なぜ参加したんだ。
◆ □ ◆ □ ◆
まあ、当然それは褒美のため。
参加者だけでなく観戦者にも、風兎に頼まれて料理を作っている。
「それで、どうだったと思う?」
『論外だ』
「えー、理由は?」
『あの強化外装は優秀だ、それは認めよう。しかし、『抜刀』の本質はアイテム取り出しの高速化……アレを使わざるを得ない状況に持ち込まれたこと自体が問題だ』
うーん、ぐうの音も出ない。
優秀な使い手であれば、それこそ武器を足場にして距離を取る……なんてこともできなくはないだろう。
俺はまだ手の辺りに出すことが限界。
足の先に、なんて芸当はまだまだ修練が必要だろう。
「なんか途中から目的が変わっていた気がしないでも無いけど……まあ、自信はさすがに湧いたよ。ありがとうな、風兎」
『……ふんっ!』
このお礼は必ずしないと…………一存でどうにかなる話では無いが、運営にアイラブとの再コラボか復刻を打診してみよう。