死天の真試練 その12
死天の真試練 その12
埒が明かない、百を超える死を以ってようやくそれを理解した。
なのでこちらから打って出ることに──準備するのは職業と靴と仮面と指輪。
「[カゲフミ]──“影鬼”」
第一段階、靴型の遺製具『影踏吸[カゲフミ]』の能力を発動。
事前に準備した専用エネルギーを使い、俺のシルエットを模った影法師を生み出す。
「【影法師】──“共存顕影”」
第二段階、生み出した影に強化を施す。
条件を満たしてからよく使うようになったこの職業は、影という概念を用いているものならば大抵強化できる……微量だけど。
だが、今回はその微量な強化であっても必要となる。
何ならカンスト済み、“職業強化”でより強化済みだけれども。
ここまでならば、基本的に大したリスクもコストも無く可能だ。
だからこそここからが本番、同じ手を使えなくなる切り札を切っていく。
「第三段階──『インストール:ファントム・オブ・ファン』、『演目:魔王降臨』」
少女の憧憬を宿した仮面、それはその身で示す想いの証明。
より長い時間見つめ、より深くを知り、何より──認められることこそが重要。
かつて、『騎士王』に対して用いた最強最悪のコンボの切っ掛け。
冒険世界のイレギュラー存在、【魔王】を体現する置換型の『プログレス』。
「第四段階──『ミラーリング』」
それは『プログレス』の名前でもあり、アイテムの名前でもある指輪。
効果は[ステータス]の複製、及び装備者への一時的な反映。
触媒である鏡の純度が高ければ高いほど、その複製も効果を増す。
そのためだけに、反射率99.99……%の鏡を触媒として準備していたりする。
かつてのイベント時、星敵である俺を討つために派遣された逸脱した連中の皆々様。
権能持ち、最上位職就き……遺製具を複数保有するような実力者たち。
そんな彼らの[ステータス]情報を、俺はこの指輪で複製して保管していた。
耐久値が尽きれば消滅してしまう、だがそれでも──ここで使い切る覚悟で挑む。
「俺の肉体、キャパシティじゃ収めきれないスペックも権能も、【魔王】様の体なら問題なく入れられる。そして、最上位職持ちならそっちにも余裕があるし──」
「“神持祈祷──」「“神持祈──」「“神持──」「“神──」
「『プログレス』を追加で収めて戦力強化。WITHシステムもやりたい放題……なんかもうはっちゃけてきたな、普段できないこと全部やってやる!」
俺は天性の才能があるわけでも、努力すれば報われるスペックの持ち主でもない。
オンゲーの頃から、おぼつかない操作で創意工夫を重ねてきた。
それらの経験が物語る──やはり、楽しんだ者勝ちだと。
内から湧き上がる衝動、それ身を委ね結界の外へと飛び出していくのだった。