死天の真試練 その20
死天の真試練 その20
本来の制限を物ともせず、型通りに動きその都度事象を生む俺in『SEBAS』。
弱体化に弱体化を重ね、それでもなお抵抗する敵性ユニットに連続コンボの真っ最中。
(怒涛も怒涛、コンボが止まらないな……シビアなはずなんだが、さすが『SEBAS』だよな)
重ねれば重ねるほど、コンボダメージというものは減少していく。
それ以上に数を重ねるからこそ最終的なダメージが出るのだが、その分難易度が高い。
とまあ、わざわざ語るのは当然、それを容易く『SEBAS』が行っているため。
いちおう職業能力の効果で、コンボの継続時間やダメージの逆補正を抑えてはいる。
それでも敵性ユニットはとんでもなくタフな上、死のオーラによる防御力も半端ない。
暇な俺は[ログ]を──発生するダメージが延々と1と処理される光景を眺める。
(0じゃないのは『貧弱な武力』で1は確定ダメージが入るから……それも無かったら、あるいは本当に0だった? まあ、毎度のことながら虚弱だししょうがないか)
特殊効果を[機源]で、内部で起きる振動や衝撃を『超越生者』で無効化。
ある種の無敵状態……が、これは現状を維持し続けることができるならば。
『──、──』
「“彷徨う中で、大空は澄み。迸る紫電、電光石火の如く”」
コマンドを詠い、武を奏でる。
俺よりも多く唱え、より複雑な動きで容赦なく畳みかけていく。
相手が運営の集めた膨大な戦闘データを持つならば、それ以上の技を示せばいい。
単純ながら達成困難なそれを、成し遂げている『SEBAS』。
万能執事AI『SEBAS』、その使命は俺の指示を完璧にこなすこと。
それを可能とするため、様々なことを──たとえ禁忌であっても──やってきた。
「『覇獸』の権能を起動。対象──『理■■命』、“■救■冥”を即時実行します」
その集大成、創造神から直接お小言を受けるぐらいには禁忌に触れた存在を、その禁忌そのものを権能によって引き出す──同時、俺の体の主導権が切り替わる。
《旦那様、それでは──》
「──“仮死確生”、“死偲侵中”、“器施壊逝”!」
《トドメの一撃を》
死中に活をもたらし、死の報いを付与、命懸けで最高の『超越者』の再現を。
そんな術式たちの展開と同時、それを妨害してしまう機鎧が解除された。
その手には武器を持たず、しかし突き出す手とは異なる手を素早く動かす。
敵性ユニットは動かない……否、動けない状態にある。
影法師、その中でも権能を有さない人々を模倣する個体たちの『プログレス』を変更、様々な方法で拘束を行っていた。
顕現できる残り時間は数秒、また同じことはもうできない。
敵性ユニットは動けない、がこちらが終わらせようとしていることは知られている。
これまでで一番の量死のオーラを放ち、鋭利に尖らせ向けてきた。
──全身をそれに刺し貫かれながら、それでも俺はやるべきことを終えた。
「『万能手袋』──“ 拳打 パンチ ”」
武技を交え、拳を前へ。
装備が解除され無防備だった俺の掌は、手袋に覆われ神々しい力を纏っている。
重ねた三つの術式、『SEBAS』が維持してくれている権能とその効果。
それらが敵性ユニットを■し、■し、そして■し──死のオーラごと消し飛ばした。