死天の試練後 その07
死天の試練後 その07
俺は狙われているらしい……ただし、目的はルリに対する人質。
邪神派閥にせよ混沌勢にせよ、それをするだけの相手と認識しているからだろう。
(ルリの運も決して万能じゃないもんな。その辺に気づいているかはともかく、俺を狙うというのも割と手っ取り早い方法か)
たとえば理詰め、運の介在する余地が無くなるほどに徹底された嵌め技。
1を100にすることはできても、0からの創造はできないのだ。
……逆に言えば、1以下だろうと可能性があればあり得てしまうのだが。
偶然にもピンポイントで空からボールが、というのは俺も見たことがあるな。
たとえば脅迫、要は彼女が望む選択肢を取れないようにすればいい。
一つ目の理詰めと組み合わせ、回避不可の状況に持ち込めば理論上は可能だ。
ただしそれをやった者がどうなったか……俺の口からは言えない。
ただまあ、俺が実行者たちと会うことは決して無い、とだけ言っておこう。
閑話休題 ナイショだよ!
現実において、これらは本当にあった出来事……ルリの運を狙う者は多いのだ。
それらをすべて退け、今に至るまでにはイベントが多々あったが……それは省く。
(ショウとマイを狙っていたなら、問題なく解決してたんだろうけど…………俺だしな)
《…………》
(自分のことは自分で解決する、そう決めたからこその今だ……もっとも、こっちでも向こうでも『SEBAS』の世話になりっぱなしなのも、理由の一つかもしれないけど)
《それは……》
うちの子たちもまた、部分的にルリの運を引き継いでいる。
俺では無い子供たちが狙われたとしても、何だかんだ対処できると思う。
俺にはそれが無い。
間接的に家族が受けている恩恵にあやかれることはあっても、俺自身をその恩恵が守ってはくれない……むしろ牙を剥く。
(…………あっ、それのせいか)
《情報を一部修正して計算します…………おそらくですが、ホテルへの干渉が可能になった要因かと》
(運営製の理って、マザーAI監修のはずだもんな。情報通りなら、今の邪神派閥とか混沌勢でここを突破できるはず無かったのか)
俺たちが死に戻りしたり、基本的にどんな状態でも使うことができる[メニュー]。
そこから派生するスキルの習得など、自由民には無かったソレらこそ、運営の理。
その一つに組み込まれている、プライベートエリアの概念。
誰も入れない……魔法があるような世界でもそれが可能なのは、理が働くからだ。
俺が信仰する失名神話の神々同様、邪神派閥や混沌勢も弱体化している。
彼らもいろんな形で力を取り戻そうとしているが、現状ではここに潜り込めないはず。
それがここまでのパニックを引き起こす、そこには絡繰りがあったわけだ。
──ルリの運とは、彼女を見守るある存在による最上級の祝福のようなもの。
ルリが、ある存在が溺愛する彼女が望むからこそ、万象は彼女に味方する。
そして俺は、そんな彼女と結婚した憎き仇のような存在。
(EHOを始めてからは、そんなに問題になることは無かったんだが…………今回、ついに動いたわけだ)
《そのように思えます……旦那様、このことは奥様に?》
(言わないさ。この程度何とかなる、そうルリも思ってくれている。だからこそだ)
理不尽な、それこそルリの望まない出来事はその存在が望んでも起きない。
俺が何とかできる、ルリがそう信じてくれているからこそ成立した騒動なのだ。