死天の試練後 その12
死天の試練後 その12
自分たちの下へ辿り着いた俺を、労うルリと【傾界魔王】。
星敵である【傾界魔王】は、イベント世界に騒動の収束を求められ派遣されたらしい。
それにしては積極的に動かず、ここに居たのだが……重要人物であるルリの守護、という体裁で行くんだとか。
「……アズル」
「理由でしょう? ここに居た方がいい、そう思ったのよ。それに、この人を放置したらいけない……そう感じたわけよ」
ルリは幸運というか、ルリの求める理想に自然となるように動ける。
今回で言えば俺が試練を受ける間、妨害を受けないための最適解。
つまり、【傾界魔王】の下に向かい、誰も居なければしなかったであろう行動、それを阻止しなければ何かがあった……そのために動けたわけだ。
「……本当に、何をするつもりだったんですかね?」
「何もしていませんわ」
「『騎士王』様からも、注意を受けているんですよ。無数の世界を股に掛け、大量の罪を犯している……冒険世界の『モルガン』も、貴女だったんですよね?」
「ええ、『モルガン』であった時期もかつてはございますわ……ですが、それと今は関係無いではありませんか」
冒険世界では過去の『騎士王』の配下、他の世界ではまた違うようだが、いづれにせよ大半の世界で大罪を犯し、星敵として認定されている。
複数の世界から星敵認定されたところで、本来は当人の限界までしか権能は強化されない……のだが、【傾界魔王】は例外、指定されればされるだけ、強くなっていく。
星敵認定そのものは、多少遅らせることはできてもいつかは必ず行われるらしい。
……【傾界魔王】の異常性、その一端を担う要素だな。
「アズルさん、彼女はここで何を? ……というより、何だか先ほどの話と矛盾している気がするんですよね」
「まだ、何もしてなかったわ。というより、彼女はここに転送されたらしいのよね。私がここに居たから、守ってほしいと頼んだらここに残ってくれているの」
「……つまり、そうでなかった場合は真っ先に何かしていた可能性があると」
「ですから、何もしていないじゃありませんの! もう、失礼しちゃいますわ」
頬を膨らませそう主張してくるが、まったく説得力が無いのでここはスルー。
この結果を導き出すため、俺側の嫌がらせに雑さがあったのだろう。
そう、雑さ。
ルリへの対応と比べ、アルス・ナギマを呼ぶだけですべてが台無しになるあの展開は、干渉以外を異形を操る勢力に委ねたからだ。
「では、今はどうなりますか? 試練は終わりましたが見ての通り、さすがにアレの処理が必要になってしまいました」
「……【傾界魔王】さん?」
「ハァ……仕方ありませんわね。ええ、少しぐらいなら、お手伝いしますわ」
使える者は何でも使う、ルリと俺がジッと見れば【傾界魔王】は降参といった感じで両手を上げる……思惑はありそうだが、一先ずは良しとしますか。