改人創象 後篇
改人創象 後篇
どうやら“改人創象”のユーザーたちが、いろいろとやらかしているらしい。
開発元だと速攻で割れ、『騎士王』に問い詰められてしまう。
……が偶然と言うか何というか、この術式にはいろいろとメリットがあるらしく。
禁忌──それを糧として発動する術式について、『騎士王』へ説明することに。
「『騎士王』さんもご存じでしょうが、私もまたあの存在について把握しています」
「……余計な仕掛けだ」
種族レベルが999となった者には、情報が与えられた。
多くの情報の中には、遺失したものや秘匿されたものも含まれている。
「私のようなものであっても、努力を認めてくれるいいシステムではありませんか。」
「今と昔では、到達に必要なものが違う。死なない存在、擬似権能……知識があったとてそれを正しく使えねば意味など無かろう」
「……そ、それはさておき、カウントダウンについてもその中で知ることができました。そして、そのカウントの元となっているものについても」
言うまでも無く禁忌のことだ。
人は三人以上居ると派閥ができ、争いがどうこうという話があるのだから、もっとたくさん居ればどうなるかなど自明の理。
そして、星に住まう多くの人々が生きる中で少しずつ溜まっていく負の感情。
中でもそれが濃縮されたもの──それが禁忌、それを糧にカウントは進んでいく。
「そんな禁忌ですが、一部の最上位職では上手く利用できているようですね。協力者がそこに目を付け、実験を繰り返していました」
「生産世界の『忌創展概』だろう。いちいちはぐらかす必要もあるまい」
「……まあ、そんな彼女の権能ありきの実験でしたが、座礁することが多かったようで。僭越ながらこの私が、少々異なる方法での検証を提案させていただきました」
禁忌を踏み倒し、使うことができるのが生産世界の逸脱者である彼女の権能だ。
それはつまり──世界も大衆の認識も、ある意味でそれを許容しているということ。
結果として、彼女は実験したくてもできない状況に。
権能をオフに……ということもできない、強制パッシブ型なことは把握済みとのこと。
その辺はさておき、俺はそんな彼女に代わり実験をいくつか行った。
禁忌として定められた所業、それらに手を出した際に起きる現象。
それを正しく捉え──利用する。
一度考えた通り、後で絶対に失敗するタイプの悪役みたいなやり方を選んだのだが、これが思いのほか(現状では)上手くいった。
「実験は成功。犯罪者たちがそれらを成す際に生じる分程度ならば、“改人創象”展開時のコストとして利用できます。それを散らせば少なくとも、今のペースよりは抑えることができるかと」
「……他の世界にも、配った意図は?」
「その方が良いかと思いまして……何か不都合な点でも?」
「……いや、無いな。そうか、貴公の話は分かった。とはいえ、抑えたという速度も従来に戻っただけに過ぎないがな」
「ま、まあ、それは……ははっ」
死んでも死なない連中が暴れ回れば、その分だけ揉め事も起きる。
解消される問題もあるだろうが、増える問題もまた然り。
結果、今回は納得してもらえたが根本的な解決には至らない。
……そもそも解決策自体簡単には見つからない、そういう類いだからな。