第二回コラボイベント前篇 その12
第二回コラボイベント前篇 その12
ファンクエ 魔王城 最上階
隠しエリアで手に入れたアイテム、それは帰還用のアイテム『キマイラの翼』。
ただし、今回のイベントでは無用の産物でもある……終了後に真価を発揮しそうだ。
「えー、やりたいこともやったし、ゲーム版仕様で必要なアイテムも集めたので、魔王に挑もうと思います」
魔王城同様、勇者でないEHOのアバターの場合、魔王はゲーム版以上に強い。
ダメージカットや特殊効果の無力化など、とことんThe・魔王感を出すとのこと。
その旨は先の隠しエリアに置かれていた本にも載っていて、勇者以前に魔王に挑んだ者たちが味わった、魔王の恐ろしさを体験できるらしい。
まあ、普通若者独りに世界の命運を委ねるなんてことはしないからな。
そうせざるを得ない理由こそ、魔王と勇者という相剋的関係なのだろう。
「それじゃあ、部屋に入るぞ」
扉に手を当て、勢いよく開…………。
ドローンや人形を複数配置し、扉を開かせていく。
扉が開いたところですぐに潜り抜け、元通り[インベントリ]に仕舞う。
何食わぬ顔で進んだ先──そこには、玉座へと腰掛ける独りの男性が。
「これはこれは……まだ我に挑もうとする者居るとはな。しかも、勇者ではない、と」
「生憎、勇者はここに来ることができませんでしたので。私はその代理です」
「ほぉ。勇者の代理とな……貴様にそれが務まると?」
「ええ。貴方独り屠る程度、それだけであれば私如きで充分かと」
そう言って、これまで同様[モルメス]を構えれば、魔王はピクリと反応する。
「……神器か。なるほど、貴様の自信の種はそれか」
「偉大なる死神様のご加護を受けておりますので。貴方の命、捧げさせていただきます」
「勇者の前に余興の一つぐらい、楽しめるだろう。いいだろう、遊んでやる」
魔王は玉座から降り、武器を握り締める。
それは禍々しい輝きを秘めた宝珠が取り付けられた、捻じれた長杖。
「勇者ではない貴様が、どれだけ生き長らえることができるか……見物だな」
「であれば、いつまでも。貴方が骸を晒すその時まで、この身を賭して挑みましょう」
「くはははっ! そうか、ならばやってみせるがよい! これまでもそう言って、数多くの戦士たちが潰えてきた。貴様もその一人に加えてやる!」
魔王との戦闘が始まる。
俺は一歩足を踏み出し──魔王はこれまでの嘲笑を止め、つまらなそうに嘆息。
地面にこれまで無かった強大な魔力の反応が出現──俺の下へ無数の棘が殺到し、宙へその体を持ち上げられるのだった。