第二回コラボイベント前篇 その13
第二回コラボイベント前篇 その13
レースモードを選択し、準備は万端。
原付きに搭乗し、操縦は『SEBAS』お任せ──ゲームでもやるような視点に立ち、展開されたUIのボタンを押した。
カウントダウンが終わり、レースが始まった……俺の順位は現在16位。
初期配置もそうなのだが、それ以上にこれは戦術とのこと。
一位に躍り出れば当然、その座を狙う者たちから激しく狙われる。
なので最初は後ろの位置からスタートし、少しずつ抜いていくんだとか。
「普段のビルドだったら、全部無効化して1位を維持し続けるなんてこともできなくはないんだろうけど……今は難しいしな」
スタートと同時、俺が発動を選択した技は“隠蔽”。
周囲から気配を隠し、俺の存在を知覚しづらくすることができる。
コラボの仕様的には、追尾性能のある技の回避などにも使えるらしい。
がそちらにも限度があるので、無難に身を晦ますための使い方を選んだ。
元より狙われることの無い16位、俺のことなど誰も彼も無視して先頭を目指す。
だからこそ少しずつ、後ろからこそこそと上を目指していく……はずだ。
「二つ目、“望遠”」
自分を中心とした俯瞰視点だった視界が、突然──増える。
二画面表示となった視界が、これまでの視界に加えて“望遠”で覗いた先を映し出す。
現在、『SEBAS』によって順位は14位となっている。
誰も居ないのに順位が下がり、驚いている姿は面白かったな。
なんて余裕があるのも『SEBAS』のお陰、そしてその支援をするのが俺の目的だ。
身を隠す“隠蔽”、情報収集の“望遠”、そして──
「そろそろか……三つ目、“補強”」
無機物の乗り物にしか使えない能力。
機体の強度を高め、多少の無茶ができるようになる。
それは防御面だけでなく、移動の面でも。
すぐさま『SEBAS』がエンジンを噴かせ、一気に加速する。
当然、速くなる分操縦が困難になる……が『SEBAS』には関係ない。
周りが姿を捉えられない状態で、一気に抜かし順位を上げていく。
順位が変動し、周りに抜いた者が居ない。
不自然だからこそその絡繰りに気づいて、対処する者が現れる。
『! そこだ!!』
他の参加者を風避けにし、着々と抜いて順位が8位になった時。
9位となった参加者がそれに気づき──前方一帯を焼き払う技を発動した。
溜めも長いであろうそれは、その先に居た者たちも巻き込み順位は一気に変動。
俺もまたそれによって──5位に上がることができた。
「まあ、抜いてすぐにまた自分から抜かれるなんて想像つかないよな……これも戦略ってことで」
一番最初、その参加者が出し抜くためにすでに使っていた技だったりする。
技を特定、CTの推察からこのタイミングで打って出た……というのが今回の戦略だ。