第二回コラボイベント後篇 その05
第二回コラボイベント後篇 その05
運営から修正が入り、魔王役を務めているユニットたちは一時凍結となる。
……が、すでに戦闘中のユニットはそのままらしく、せっかくなので挑戦してみた。
「それじゃあ先生、お願いします」
《主導権の委任を確認──旦那様の意識を隔離します》
俺の意思はアバターから離れ、何も無い白い空間へ。
一部の状態異常など、体の操作が物理以外の要因で失われた際に飛ばされる場所だ。
代わりに宙へ投影された、アバターの視界から現状を把握できる。
──そこでは俺のアバターが術式を編み、魔王役を務める休人と戦っていた。
《“破砕硝壁”を連続展開します。加えて、“ヴィジョンアイ”をインストール及び“神持祈祷”にて使用します》
最近よく使っている、超ピンポイントな防御術式を発動。
展開場所は相手術式の発動始点付近、こちらへと届く前に誘爆させ無力化していく。
『────』
魔王ユニットの面倒な点の一つ、それは無音での技の行使。
武技も魔技も発動を声で認識できず、本来発声が必須なものですら無音となる。
対応するスキルなどを持っていると違うものの、そうでないなら口自体は動く。
また身力の動きなどから読み取ることで、先読みは可能だ。
通常通り、魔王を選べばそういった問題は起きないのだが。
もともとのユニットの仕様のせいか、分からないようになっていた。
「ただでさえ強いのに、無詠唱だから余計やりづらいんだよな……何なら展開速度も魔王補正で上がっているから、先読みで対応できる制限時間も短めだし」
《“至行”を行使──“破砕硝壁”を多重展開します》
「まあ、『SEBAS』なら何とかなるか」
現人神として俺が担う『試行』。
それをデチューンした神聖術式“至行”。
99%を100%に、入念な準備という努力を結果が裏切らなくするという効果。
それまで『SEBAS』が調べ上げ、法則性を見つけ出した術式の展開先。
これまでよりも早く、術式が展開される前に“破砕硝壁”を生み出し配置していく。
脆く割れやすい魔力の壁、その配置位置にユニットの術式が展開される。
すると、障壁がその魔力の影響で破裂──ユニットを襲う。
ダメージは微量、しかし俺に攻撃は届かず一方的に攻めることができる。
未来視染みた、というか不完全ながら覗いた未来をより確実に。
「『貧弱な武力』って、別に物理攻撃でなくとも効果を発揮するし……『魔匠』で防御無視、“破砕硝壁”で飛び散る破片は一つひとつがダメージ判定を出す。そりゃあダメージも稼げるわな」
忘れてはいけない、そもそもこれは擬似的なレイド戦。
あくまで求められるのはダメージのみ、倒す必要は無い。
無効化、カウンター、ダメージ稼ぎ。
今回の目的はあくまで、魔王役のユニットがどれほどの補正を受けているか……充分にデータは集まったよ。