第二回コラボイベント後篇 その10
第二回コラボイベント後篇 その10
魔王が呼びだした三体の怪物。
風兎に魔王を任せ、俺と人形姉妹でその怪物たちを倒すことにした。
俺の担当は単眼の巨人。
物理特化で一撃一撃の強さは強大……なのだが、盾と権能で物理をほぼ無効にできる俺との相性はピッタリだ。
「──“ 双身之秤 ジェミニリブラ ”」
『?』
「これでまあ、半減だな」
術式が通った対象と、身力を共有するという──禁術。
生命力が数値上、1しかない俺が使えば強制的に半減させることが可能。
相手の耐性次第で減る量は抑えられてしまうのだが、デバフ以外はほぼ通る。
そしてこの術式、身力の共有が理論上はバフなので、デバフとして処理されないのだ。
「共有後、即座に解除。“千変宝珠”展開」
あとはまあ、簡単なお仕事。
術式の雨が巨人を襲い、抵抗するように振り回される棍棒から距離を取るだけ。
時間は掛かるが再生能力は無いので、延々と繰り返すだけで倒すことができる。
防御無視の『魔匠』、休人だけの[称号]はここでも健在だ。
『────』
「おっ、倒れた。さて、次は……って、二人は速いなぁ」
エクリが相対していた大きい方の悪魔。
そちらは体の半分が影の中に沈んでおり、ピクリとも動かなくなっていた。
ギーフが相対していた小さい方の悪魔。
そちらは見た感じ変わったところは無いのだが、逆に言えばいっさいの変化を見せないまま同じく動かない状態となっていた。
「エクリは見たまんまだし、ギーフはまあ即死の状態異常でも付与したか……ゲームだと試したこと無かったけど、通るのか」
《ギーフだからこそですよ》
「まあ、だな。ちゃんと後で褒めよう」
状態異常を操る人造固有種を基に創られたからこそ、ギーフはそちらの造詣が深い。
組み込んだ『コレクトキャプチャー』も、状態異常に関連したもの。
それらを上手く使い、状態異常を通すのも困難な中ボスのはずの悪魔に、それこそ通せるはずのない即死を捻じ込んだ……うん、さすがである。
「──創者様」
「──お父様!」
「ああ、二人ともご苦労。本当はゆっくり労いたいところだが……その前に、終わらせないといかんからな」
ちらりと視線を向けた先、そこで繰り広げられているハイレベルな戦い。
風を纏い空を駆ける風兎、それに対し不動のまま様々な術式を振る舞う魔王。
「くくくっ、さすがは神獣に通ずる存在だ。これは楽しませてくれる」
『……おい、もういいだろう』
「くくっ、そうだな。あの者たちもまだ力不足だな……やはり我自ら動くしか無いか」
指を鳴らすと、三体の怪物たちが粒子となり──それらが魔王に取り込まれる。
存在の圧が増し、明らかに強くなった魔王が衝撃波を放つ。
『……それで、これからどうする気だ?』
「勇者風兎様に後はお任せを──」
『…………』
「──というのは冗談で。今回の目的はあくまでダメージ稼ぎ、それを念頭に置いて全員で畳みかけますよ」
ギーフが状態異常で妨害し、風兎が前衛として暴れ回る。
エクリには二人の支援をしてもらい、俺はまあ……遊撃役ということで。