第二回コラボイベント後篇 その12
第二回コラボイベント後篇 その12
魔王相手に盛り上がる演出をしたところ、向こうも乗り気になってしまう。
要するにパワーアップ、風兎にジト目を向けられてしまったよ。
「──さぁ、踊るが良い!」
『貴様のせいだぞ!?』
「まあまあ、いいじゃないですか……この方が難易度が上がって、その分貰えるスコアも高くなるそうですし。せっかく頼もしい勇者風兎が居るのですから、我々も全力でバックアップさせていただきますよ」
嵐を纏い魔法の雨を掻い潜る風兎、展開している“千変宝珠・万能乙女”によって自動で術式を無力化している俺。
「二人の準備が終わるまで……もうしばらくお待ちください」
「ほう、それは我にも言っているのか?」
「……ええ。できれば少し、出力を抑えていただければ完成も早くなるのですが」
「それはそれは、良いことを聞かせてもらった──ならば全力で邪魔をするとしよう」
うーん、さっきから余計なことしか言ってないな俺。
エクリとギーフ、二人にはこれから行うあることのため準備をしてもらっていた。
そのため、影に潜み中でソレを行っていたのだが……魔王は影のある場所に向け、とっくの昔から攻撃を放っている。
影の場所を随時転移し、直撃は避けているのだが……魔王は転移先すらも特定し、追いかけ回していたからこそ、それを止めてもらいたくて提案したけど……逆効果だったな。
◆ □ ◆ □ ◆
それでも凌ぎに凌ぎ──三十秒経過。
普通ならばすぐに過ぎる時間も、命懸けで回避行動を取っていれば長く感じてしまう。
風兎はその間も随時攻撃を行っていたが、魔王はそれを片手間で編んだ魔法で防御。
俺は半自動で動く体に身を委ねていたのでそれ以外は何もできず、ただ逃げるのみ。
「──お待たせしました」
「準備できましたわ!」
だがそれも終わり。
影から堂々と出てきたエクリとギーフが、この状況を打破してくれる。
当然、魔王もここまで仕込んだナニカを警戒しており、魔法が攻撃や妨害向きなものからどちらかというと防御にも使えるようなものが混ざり出す。
それでも強行する。
鍵を握るのはギーフ、彼女のバフ・デバフ専用の『コレクトキャプチャー』。
「──“ペースト・アンド・タッチ:『■■■■』”」
「ぐぅ!」
本来、名称通り接触が必要な能力。
しかし人造固有種[ギフチャージ]がかつて休人たちに見せた通り、彼女は他者への状態異常付与を遠隔で行うことができる。
一瞬、タッチという単語にギーフ自身を警戒させ──その隙を突き、“万光統一”で自身と同一化した光を死角からぶつけてその条件を満たした。
「これは……魔力が!」
「ええ、魔力を──増やしましたわ」
今回ギーフが付与したのはバフ。
おそらくデバフであれば通らなかっただろうが、彼女のスペックと表向きプラスの効果だったからこそ通すことに成功した。
「だが、これに何の意味が……」
「試していただければ分かりますよ……ああいえ、すぐに分かってしまいますね」
「ッ! そういうことか!」
魔力の増大、それは何もいっさいのリスクも無く成立するモノでは無い。
結果的にバフとして成立しているが、それは小さなデメリットに目を瞑ってこそ。
魔力を生み出す根源、それは心臓とも魂とも言われている。
目に見えるか見えないか、議論はされているが……それはともかく。
要するに、生物における重要な部分が動力炉として機能しているのだ。
増大するに辺り、通常以上にその部分を酷使することでその現象は成立している。
「今の貴方は魔力を使えば使うほど、生命力が削られていきます……抵抗すればするほどに、相応に強化されている以上、増大量も凄まじいでしょうね」
レイドボスとして強化された魔王、死なないよう生命力も多めだ。
魔力増大のバフは、そんな膨大な数値を削り魔力を増やす──スコアの荒稼ぎだな。