第二回コラボイベント後篇 その16
第二回コラボイベント後篇 その16
──トップでゴールする確実な方法は?
誰よりも速く走る、というのがよい子の思いつくベストアンサーだろう。
だがそうじゃない者は違う、より確実な方法が存在する。
「まあ、ああいう感じでな。予め移動阻害を仕込んだうえで、スタートの時点で退場させれば、動けるのは自分だけで1位は確定になるわけだ」
『……キュゥ』
「そうそう、自分と乗りモノを妨害に特化させている人は、だからあんな大きかったり重量があったりするんだ。他の奴の妨害を無力化する必要があるからな。だから、お前さんみたいなのは想定外なんだよ」
速度一辺倒の場合、ザ・ロード仕様の技はかなり通じやすい仕様だ。
無制限なのだが、パラメータなどの観点でやや制限はあるんだよな。
大きければ速度が遅い分だけ出力が出る。
小さければ出力は出ないが機動性が高い。
それは前提として、フィールドによって相性があったりする。
……がそういうのも全部纏めて、参加者自体を潰すやり方が流行っているわけだ。
その妨害は当然、[ラヴィンド]にも向けられた。
小さい、というか子ウサギほどのサイズ感から耐性は低めと判断されたのだろう。
それでも12人の参加者の内、9人ほどが周囲に同時に施したデバフ。
──それを刹那のスタートダッシュ、たった一歩で先に抜きんでることで回避した。
『キュウ』
「そうだ、この後一周するとまだその場にいる奴らが妨害を仕掛けてくる。強制的に動けなくするとか、時間の流れを遅くするとかほぼ何でもありだ。ただし、それには効果範囲が存在する」
『キュッ』
「ああ、『SEBAS』に任せておけ。感覚共有でそれをそっちにも伝える」
光の速さ……は残念ながら制限されているのだが、それでも時速100km超えだ。
衝撃は『超越生者』が無力化し……それでも感じる風を受けながら突き進む。
レースは三周した時点での順位で決まる。
快速なタイムを叩きだし、一周目を終えようとしたところ……眼前で待ち構える参加者たちを見つけた。
すぐに『SEBAS』が俺の技を代理で使い、情報を解析する。
それぞれの参加者が使う技の範囲などを特定し、それを色で見えるようにしていく。
そして、俺にしか視えないその景色を、視覚の同調という形で[ラヴィンド]へ。
上から下まで、空中にまで仕掛けられたその包囲網──その隙間を掻い潜る。
彼らも同じ妨害という形で手を組んでいたが、コースすべてを完全に対象に入れることはできなかった。
それぞれの領域がぶつかり合い、生じた僅かな隙間は無数に存在する。
場所さえ分かればその小柄な体躯を活かして、高い機動力で突破できた。
「次はもっと難易度が高くなるぞ。大丈夫そうか?」
『キュッ!』
余裕だ、と言わんばかりに鳴く。
……まあ、一度として[ラヴィンド]に与えられた技を使っていないし、そりゃあまだまだ余裕だよな。