身内観光 その04
身内観光 その04
ドローンでショウたちが居る湖を見ていたら、ルリの呟きで何かが起こる。
空から飛んできた特濃ポーションの影響によって、水中から大量の触手が現れた。
「すまん、任せた」
《畏まりました》
可視化されていた方のドローンから、光が飛んで湖の様々な場所へ降り注ぐ。
それは計算され尽くした入射角によって、少女たちの一部を覆うように展開される。
おっと、ルリから連絡が…………とりあえず、『やり過ぎです』と送っておこう。
因果関係はともかく、彼女の求めた展開になっているのだ、これ以上は控えてほしい。
「『SEBAS』、風兎に連絡は?」
《すでに。こちらに謝罪と抗議をしつつ、全速力で湖に向かっています》
「それって両立するんだな」
風兎も風兎で、責任を感じているのか。
ルリについては何度も来ているので知っているが、それでもここまでのことができるとは想定していなかったようだ。
俺? ……やるだろうなと思ってました。
事前の対策は無駄なので、起きてからどれだけ被害を抑えるのかという方向に注力していたからこそ、迅速に行動できる。
「あの子……マリモリの方は?」
《やはり原液が強力なのでしょう、変化が見られません。あるいは、それすらも含まれているのかと》
「あり得るパターンとして伝えてはいたが、やっぱりそれでもダメか。覚悟していても、それを上回ってくる……さすがだよ」
マリモリ、とは湖に住んでいる住民の魔物のこと──かつては『水魔藻』という存在で風兎の森に棲んでいたが、アイスプルに来ていろいろあって進化している。
固有種には至ってないものの、代わりに発現している『プログレス』が強力だ。
──普通の水魔藻は、水を大量の触手にしてぶん回すなんてことしない。
「ショウたちはどうするか……女の子たちは捕まっちゃったか。強いはずなのに、偶然にも隙を突かれちゃったと……ハァ」
ドローンを眼前に飛ばせば、自分で頭を小突くルリの姿。
……とりあえず画像として保存しておくとして、今は現場の対応か。
そんな状態なのでショウも動きづらい。
いや、経験則上勢いだけで動いた場合にどうなるのか理解しているのだ……本当、何度こういうことになっているのか。
マリモリは狙って女性陣を掴んでいるわけではないので、当然ショウにも触手の魔の手が伸びる……全力でそれに抗いながら、飛ぶ斬撃で触手を切ろうとしているが失敗。
これもまた、『プログレス』の効果。
水を媒介としているのだが、今回はそれがマイナスに働いている──特濃ポーションにより、超強化されてしまっていた。
「おっ、助っ人……もとい助っ兎が来た」
そうこうしていると、空から風兎が文字通り飛んできて──湖へ入水。
襲い掛かる触手を次々と躱して、本体と接触……どうにか鎮静化させるのだった。