身内観光 その06
身内観光 その06
暴走気味の奥さんにお説教。
起きた事象として彼女の望んだ通りの結果にはなっていたが、その過程でいい思いをしていない子たちも居たからな。
「風兎、どうだった?」
『……少女たちには悪いことをしたと、反省していたぞ。ツクル……』
「さすがにな。ルリ」
「……本当にごめんなさい!」
アレから子供たちへの謝罪を済ませたルリと俺は、湖の畔を訪れていた。
そこで待っていた風兎、そして水に包まれた藻型の魔物──マリモリに謝るためだ。
ルリが現人神で風兎的に上位存在という認識であっても、それはEHO限定の話。
現実で似たようなことができても……いやできるからこそ、筋は通す必要がある。
「俺からも──本当にすまなかった。何かしてやれることは無いか? きちんと止められなかった俺も同罪だし、できることなら何でもする」
「ん? 今何で……ごめんなさい」
『今、何でもすると言ったな?』
「…………言ったけども。マリモリが言うことなら、だぞ?」
ルリの方を止めさせたのに、すっかりネタに汚染されてしまった風兎が反応してきた。
とはいえ俺たちなら、割と何でもできそうなので自信はある。
マリモリは人族の言語を話せない。
また口で話すということもできない……だが風兎であれば、森に居た頃からすべての魔物たちと話していた風兎であれば通訳可能。
想いを言葉に乗せ、言葉を風に乗せ。
拒む意思という壁が無い限り、自分の伝えたい内容を風と共に送り込める……うーん、チートやチート。
条件などはあるようだが、民であれば全員と対話が可能な風兎。
そのチート級の翻訳によって、マリモリの意思を伝えてくれる。
『……ふむ、ふむ。どうやらアイラブの……すまん』
「さすがに今そのボケは止めてくれ」
「アイラブの? もしかして、貴方もアイラブが好きなの?」
「二人ともストップ。今はマリモリを優先したいから」
目で語り合っているようで、この後盛り上がること間違いなし。
……どんな要望であれ、俺は何かの理由を付けてここを離れるとしよう。
『…………なるほど、伝えよう。よく聞け二人とも、マリモリは──』
「「……ごくり」」
『こういうことがもう二度と起きないようにしてくれ、とのことだ』
「さっきも言いましたけど、やっぱりもう一回言っておきます。本当にごめんなさい!」
慎まし過ぎるその要望に、ルリの罪悪感が膨れ上がった様子。
風兎のように趣味ができたわけでもなく、湖の中でのんびりしている子だからな。
「うーん、そうだな……ルリ、加護とかあげられないか?」
「そんなことじゃお詫びにならないわ」
「少なくとも、同じことは起きづらくなるわけだし。損は無いと思うんだが……」
『……マリモリもそうなるならそうしてほしい、と言っている』
「…………そうね。ええ、分かったわ」
そんなこんなで、ルリの加護がお詫びの品ということに。
……休人たちだったら目を引ん剥くレベルの、とんでもないお詫びである。