身内観光 その07
身内観光 その07
風兎に通訳役を担ってもらい、俺とルリは謝罪を行うことに。
何かできることは無いか、そう尋ると──同じ問題が起きないようにしてほしい、と。
ルリのアレが引き起こした事態、防ぐために有効なのは彼女の現人神としての祝福。
自身の加護程度でお詫びになるか、と考えるルリを説得して授けてもらうことに。
「じゃあ、始めるわね」
『……!』
刹那、これまでのルリが発していた接しやすさというものが消え失せる。
放たれる神としての力、それが外部に漏れ出た瞬間に厳かな圧が場を支配した。
人族でありながら、神の領域に近づいた存在──それが現人神。
たとえ現実ではただの人であっても、この世界で信仰を得ている事実は変わらない。
ルリは──命運神は掌を前に。
水球に包まれたマリモリへ向けて、その膨大な神気を──
「──えいっ!」
なんかふわっとした感じで授けた。
うーん、ギャップが凄い……風兎も耳が垂れ下がってしまっている。
すると、風を伝って俺にだけ聞こえるようにコメントを──
『……なあ』
「いや、俺も現人神だけどそういうの知らないからな。神様たちも特に何も言ってこないし、加護っぽいものが何かくっつけばいいかなぁぐらいの認識だぞ?」
「だ、大丈夫だったかしら? こう、できる限り丁寧にやったつもりだけど……」
「風兎、『プログレス』の[ステータス]表示機能で確認をしてほしい、そう伝えてくれないか?」
『あ、ああ……分かった』
再びマリモリに風で言葉を伝えてもらう。
藻の魔物であるマリモリに取り付けられた『プログレス』、茎状部に移植されたソレが休人だけだった特権を代行する。
特定のスキルや職業が無ければ視ることのできなかった[ステータス]、それを着けているだけで誰でも分かるようにしてくれた。
『……新しく増えているようだな。命運神様のご加護が』
「おおっ、良かったな。休人たちの間で大人気の加護なんだ。これでもう同じことは起きないと思うぞ……なっ?」
「そうね、悪いことは起きないと思うわ……ただ、ちょっとでもそうなったらいいかも、とか思ったらそれはそれで危ないから気を付けてほしいわ」
『…………ツクル』
「あーと、俺の加護も要るか? たぶん、ルリとの併用なら制御に使えると思う」
『贈ってやってほしい』
ルリの加護は効果がとんでもない、俺に付いている祝福だって高確率の判定操作だし。
なので強く望むと、ルリが可能な範疇でそれが起きやすくなってしまう。
普通の加護ならまだしも、今回はルリが一から丁寧に加護を贈っている。
……となれば、俺の加護も渡しておいた方がいいだろう。
俺も先ほどのルリと同じように、掌を前に突き出して準備を始める。
……厳かな空気にはならないが、若干手の辺りの空間が歪みだす。
あとはそれが加護として機能するよう、文字通りの神頼み。
……何とかなってくれ、そう思いながらマリモリに注ぎ込んでいく。
『……試行神の加護が付いたようだ』
「風兎も要るか?」
『要らん』
加護を贈るのに神気が必要だが、大して信仰されていない俺にそれは乏しい。
神としてのスペックも低スペックなのだ、今回は特別……お詫びの品だからな。