身内観光 その09
身内観光 その09
ルリと分かれた俺は、生産に没頭。
思いつく限り、また思いつかないようなことも:DIY:の補助を受けながら考え、アイテムを作り続けた。
「──で、これが出来上がったわけだ」
『これは……枝か?』
「そう、枝。植物を模した、というか植物だな。魔獣を掛け合わせて作ってみた」
『…………それで、いったいそれが何だというのだ』
人造の固有種やら神の性質を帯びた世界樹やら、インパクトの強いものばかり見せられてきた風兎だ……さすがだな、全然驚いてないぞ。
「この枝はある漫画を参考にして作ったんだけど、水中と地上で異なる性質を発揮するようになっている。どっちもこれを握ることで機能するんだが、地上の場合だと特殊な液体が出てきてシャボン玉みたいになる」
実演するように握り締める。
すると大道芸人がやるような巨大シャボン玉がその場に現れ、そのまま上空へと飛んでいった。
「クールタイムは必要だが、この生成自体は何回でもできる……そのための魔獣素材だからな。シャボン玉は意図しない限りそうそう割れない、割と弾力性強めの仕様だ」
『それがどうしたのだ?』
「だからちょっとの加工……干渉ぐらいならできるわけだ。たとえば、中に人や魔物が入るとかもな」
ピクッと風兎の耳が動く。
まあ、先ほどの流れから俺が何を思いこのアイテムを開発したのか、その辺はもうバレバレであろう。
「さすがに呼吸の補助まではできないから、自前で確保するためにシャボン玉に手を加えて呼吸確保用のケーブルを繋いだりする必要があるんだが……まあ、問題なく行けるぞ」
『それは助かる。民たちの中にも、水中にあまり被害を及ぼすことなく潜りたいという者が居るからな』
「……前に一度大変なことになったしな、それは仕方がない」
精霊が増えたり、『プログレス』が増えたり……そういった節目節目で何かしらのトラブルが起きたりするアイスプル。
固有種が蔓延っているこの地だと、天変地異染みた現象が日常茶飯事なのだ。
「まあ、それはいつものことだからいいとしてだ。このシャボン玉だが、一番重要なのはそこじゃない」
『……ふむ』
「地上で使えば内部は空気と同一の成分で構成される……そして、水中で使うことでその水と同じ成分が入ったシャボン玉になる。湖なら湖の、海なら海と同じ成分だ。そのうえで、シャボン玉だから浮く」
『!』
そんなことありえるのか? はい、ファンタジー系のVRMMOなので。
暴論だが使っている素材が素材なのだ、それで押し通らせてもらおう。
これがあれば水棲の魔物たちが、労せず地上に遊びに来れるようになる。
そういった恩恵を理解しているからこそ、風兎も耳をピンピンを動かしているわけだ。