身内観光 その11
身内観光 その11
植物の魔獣、かつてのイベントで遭遇し逃走劇を繰り広げた相手。
そのクローンで作った今回のアイテム、風兎が心配するのも仕方がなかったな。
「さて、作りたかった物もやったし、そろそろ戻ろうか……えっと、『SEBAS』?」
《お呼びでしょうか》
「定点カメラ風に出してみてくれ」
《畏まりました》
今回は網膜に投影されず、UI画面を分割してそこに映像が出される仕様だ。
理由は特にない……が、粋とかそういう類いのノリである。
それらはドローンが映し出す光景、の中でも見て問題の無い個所。
個人の秘密が映ってしまっている場所は、その中には含まれていない。
「ルリは……誰かと連絡中か。ショウたちは迷宮に行ったみたいだな。で、マイは……予想通りだったか」
《予め、協力を仰ぎ正解でしたね》
「モフモフが集まっているからな……楽しんでもらえているようで何よりだ」
もともと何度か来て、マイは遭遇した魔物たちに触っていいかと確認していた。
それでも全モフモフの一割未満、今回は多くの魔物に交流を図ってもらっている。
固有種は言うまでも無く、他の魔物たちも他の世界と違った特徴を持つ個体が多い。
中には『プログレス』や精霊の力で、性質が変わっている個体も居るんだよな。
「気持ちよさそうだな……」
現在、マイの周辺には大量のモフモフたちが集っている。
その中でマイは、大変幸せそうな顔を浮かべてとろけ切っていた。
「あんまり邪魔するのも悪いし、そろそろ切り替えるか……あっ、タクマだ」
映像を替えた直後、映っていた同僚を確認してみる。
どうやら情報収集を楽しんでいるようで、図書館を訪れていた。
「そういえば、アイスプルの蔵書関連って今はどういう状態なんだっけ?」
《比較的開示できる情報は都市に、そうではないものの記録しておきたいものを本土の図書館に。そして、禁忌を含むすべての情報が迷宮内にございます》
本土とはつまりここ、家族の運用も想定した仕様となっており、利便性も高く一日中居ても飽きないような図書館となっている。
一方、迷宮のソレは本の形をして記録しているだけで、本質はデータの収集空間。
最近なら棺や飛行物体など、そういった物から得た情報もすでに記録が行われている。
「そうだったな……本で解放される職業やスキルなんかもあるみたいだし、試してもらうのもいいか。AAAの奴らに都市の方は試してもらえるけど、本土は行かせる気が無いしタクマにやってもらうか」
もともと情報関連の職業は得ていたようだし、役に立つこと間違いない。
ギブ&テイクで行こう……若干、俺の方が貰い過ぎている気がしないでもないが。