残街鎮静 その02
残街鎮静 その02
迷宮『残街フォログラム』
迷宮を通じたワープゲート的なものを用意して、偽装都市に行かずとも本土から直接迷宮に入れるようにした。
これで身内の面々も、非合法クランの連中に遭遇することなく迷宮に潜れる。
……俺が鎮静化に貢献できない以上、彼らに委ねるしかないんだよな。
「言われた通り……何も出てこない」
純粋な素養だけではない。
職業やスキルも含め、泡沫世界の住民が求める水準を満たすことができれば、彼らはその姿を現してくれる。
……のだが、外付け要素はその中に含んでもらえないようで。
純度100%、外付け要素だけで今に至ったと言っても過言ではない俺である。
身内に迷宮の鎮静化を委ね、その突入を見守った後俺もここに来ていた。
しかしながら前述の通り、迷宮は俺の本質的なものを見抜き、誰も寄越さない。
「『プログレス』込みのはずなんだけど……インストールならワンチャンあるか?」
《残念ですが……》
「補助輪としてだけ、だったもんな。スキルの付与とかは:DIY:と同じ扱い、つまりはダメなわけだ」
格闘の才能はあるがリーチが短いやら欠損があった、しかし『プログレス』によってそれが補われた……といった場合であれば、才覚次第で満たせる。
だが他者の力をコピーする、仕様に無い新たな理を上書きする……といったものは、当人の才とは言い切れないため、残影が出てこないらしい。
こういった部分まできちんと書いてくれてあった、さすがは創造神様である。
それでもネタバレは避け、根幹的な情報は教えてくれてないんだよな。
「まあ、今の内にできることをやっておくしかないか……『SEBAS』」
《【救星者】の権限を行使──迷宮へのアクセス成功、全体への干渉が可能です》
「既存の仕様を弄ることはできないけど、アシストぐらいはできそうだしな…………コストはちょい高めだけど、それをやる価値があるからにはやっておこう」
《畏まりました──インスタントダンジョンの部分的同期……成功しました。旦那様の迷宮を同期基とし、全体に反映させます。続いてフィードバック……成功です。解放内容が旦那様の迷宮に反映されます》
本来、残影たちの要求を満たしたところで得られるものは、それを得た当人のみに反映される仕様だった……ある種それは正当な報酬、受け継ぐ資格を得ているのだから。
とはいえ、完全に独占されると困るし……何より俺がずっとこのままなのだ。
完全に私情、星の管理者として少しばかり細工させてもらった。
俺の迷宮に攻略者たちが得たものが反映され、それが全体にも伝わる。
そんなルールをこの迷宮に適応させた……簡単そうだが『SEBAS』のお陰である。
ワールドクエストに干渉する、だいぶ前に言ったがそれはできない。
だからこそアイスプルは初期のままだったし、非合法クランにある依頼をしている。
今回はワールドクエストそのものではなく迷宮を弄った、それそのものではないからこそできた裏技だ。
「アイスプルの理、職業の就職条件達成の共有……意外と上手く嵌まったな。シェア、抱え込まず伝え広げていく……そういうのを理として反映できたからこそか」
過去を継ぎ、未来を知り、今に活かす。
──アイスプルに限らず、ワールドクエストとはそういった要素が多いんだとか。